侍ジャパンと、ユニフォームと

野球日本代表、すなわち侍ジャパンのユニフォームなどに関する二、三の事柄。日本代表ネタ、国際大会ネタがないときは野球カードでつなぎます。お許しを。

プレミア12 2024オープニングR豪州戦 ニッカン2024年11月14日

プレミア12 オーストラリア戦:ニッカン

うおおお、と唸るような音がした。誰の喉から出たのかはわからない。第3回プレミア12がついに開幕したのだ。うおおお。

だが開幕前から妙な湿気が漂っていた。主力選手が、期待の若手が、まるでぴょんぴょん跳ねるように「辞退します」と去っていく。

ああ、春の蛙の大移動。ぽこぽこと辞退していく音がする。あ、春じゃない。

残された我々はちょっと寂しい駅のホームに立ち尽くす。

だがそんなことは関係ない。関係ないのだ。なぜなら国際大会とは、始まってしまえばどうせ盛り上がる、そんなどうしようもない祝祭のようなものなのだ。

とはいえ。とはいえである。台湾でやるはずの1次ラウンドを、日本だけ名古屋で開幕戦とか、そういう「特別扱いの日本代表です」みたいなやつ、あれ、嫌だな。あの湿っぽい優越感の匂いが鼻にくる。

てことで本日紹介のスポーツ新聞なの。

 

 

 


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そしてスポーツ紙の見出し。

小さいけど「若侍打線が爆発!」

昭和の亡霊か。爆発て。若侍て。

令和のこの時代にまだ爆発してるのか。もう少し繊細な語彙はないのか。

そんな言葉を見ていると、やっぱり野球って、このまま砂のように指の隙間からこぼれていくのかしら、と心がしょんぼりするのです。

だがそんな俺のセンチメンタルをぶち壊すように、清宮幸太郎が一面でドヤ顔している。追加招集で呼ばれただけなのに、何この存在感。あれか、やっぱり清宮は「時代」なのか。まさかな。

 

 


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台湾に台風が来るかもよー、とかニュースが右往左往していたが、結局、日程変更なし。結構なことじゃん。

そしてなぜか清宮と、オーストラリア代表の全米ドラフト1巡目トラビス・バザナを比較する記事が出ている。

「なぜ?」という感情が俺の脳内で大暴れしている。

なぜ清宮なのだ。なぜバザナなのだ。彼らの間にあるのは、野球という名の幻想であって、同じ競技ではあっても同じ生命体とは限らないのに。まさかな。

 

 


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そして。

開幕戦、伊藤大海の辞退という穴を埋めるために追加招集された井上温大が、まさかの先発。

これがもう、実に美しかった。あれだ。帽子を飛ばして投げる投手というのは、それだけで映画になる。

どんな脚本も要らない。風を切って帽子が宙を舞い、髪が少し乱れて、球がミットに突き刺さる。

その瞬間、野球は芸術になる。たとえ打線が爆発しようが、しなかろうが、もうどうでもいい。

そうだ。野球は爆発ではなく、飛翔だ。

辞退も、追加招集も、開幕戦の風も、全部まとめてひとつの幻影。

名古屋の夜に飛んでいった帽子だけが、本物だった。