WBC2026大谷翔平参戦
暮らす世間は 黄金週間! ゴールデンなウィーク!
阿呆か!
世の有象無象が「わあ連休だあ、どこ行こうかなあ、あ、富士山が見える、あ、違った」などと、脳みそをパステルカラーに染めて浮かれ腐っているその傍らで、わたしは、ワーク、ワーク、またワーク。働け、働け、死ぬまで働け。
体調? 悪い。最悪だ。もはや「悪い」という概念を通り越し、停止直前。
果たしてこの先どうなるのか。知らん。わたくしが知りたい。
早く終われ、黄金週間。跡形もなく消え失せろ。暦の上の祝日すべてを墨汁で塗り潰してやりたい。
連休が終わった瞬間にわたしは病院へ行く。白衣の天使に「すんません、魂の入れ替え手術をお願いします」と土下座するつもりだ。
それではようこそ、侍ジャパン・スポーツ新聞アーカイブへ。

そんな地獄の釜の底で新聞を開けば、一面は大谷翔平。
「出る」
大谷翔平は、メジャーリーグという、筋肉の塊がぶつかり合って火花を散らす弱肉強食の魔境において、最上位捕食者として君臨するウルトラスーパースターである。
なので、声明文はSNSである。
何がインスタグラムだ。何が「いいね!」だ。
本来、侍ジャパンの選出というのは、薄暗い会見場において、代表監督が神妙な面持ちで「えーと、お、大谷翔平」と、まるで極秘の軍事作戦でも発表するかのような重々しさで読み上げ、それを見た我々が「ぎゃあー! 出るのか! 出てくれるのか翔平!」と、茶の間でひっくり返って畳を掻き毟る、その「間(ま)」が重要なんじゃないのか。
それを貴様、自ら発信。スマホでポチ。
わたしはインスタなんぞ見ない。わたしは今ここにいます、などとわざわざ撮影して世間の皆さまに曝して喜ぶような精神構造は持ち合わせていない。
故に、知るのは決まってヤフーニュース。
寂しい。あまりに寂しい。砂漠で一人、湿気った煎餅を齧っているような寂寥感だ。つまらん。実に、つまらん。
どうせならテレビとかで、監督によるメンバー発表会見を、デリバリーピザを食い散らかしながら、
「はは、誰が選ばれるんやろか、まさかわたしの名前が呼ばれることはないやろうなあ、はは」
などと、ありもしない妄想に胸を膨らませて、心臓をバクバクさせながら、その瞬間を待ち侘びたかったのである。
嗚呼、狂おしい。世界がデジタルに侵食され、情緒という名の枯れ葉が、コンクリートの隙間に吸い込まれて消えていく。
ピザが食いたい。いや、それより健康が欲しい。
発行日:2025年11月26日
新聞名:日刊スポーツ
内容:大谷翔平WBC参戦表明
