侍ジャパンと、ユニフォームと

野球日本代表、すなわち侍ジャパンのユニフォームなどに関する二、三の事柄。日本代表ネタ、国際大会ネタがないときは野球カードでつなぎます。お許しを。

侍Jスポーツ新聞アーカイブ68:菅野智之WBC内定 |スポーツ報知(2025年12月13日)

菅野智之WBC内定

 

ふざけるな。いや、ふざけているのは俺なのか、それともこの薄汚れた世界の方か。

ぼくの話を聞いてくれ。笑いとばしてもいいから。

極めて個人的な、しかし全宇宙の存亡に関わる重大な事態が発生している。とはいえわざわざ断るまでもない。わたしがここで書くことは常に個人的魂の絶叫であり、個人的な怨嗟の煮こもごもだ。

​で、ここ一、二年、わたしが根城にしているマンションの周囲が、まるで悪性の腫瘍が増殖するように「お家」とやらで埋め尽くされている。

自然? そんなもんはコンクリートの割れ目に咲く貧相な雑草とともに、どこかへ雲散霧消しやがった。

​その結果がこれだ。

燕が来ないのである。​去年も今年も、わたしのマンションに燕が巣を作りに来やしない。聞けば、住民の中には燕の巣を「不潔だ」とか「糞が落ちる」とか抜かして忌み嫌う手合いがいるらしい。

あな恐ろしや。燕がせっせと泥を運んで築き上げた愛の城を、無慈悲に破壊するその神経。お前らの心は冷え切ったアスファルトか!

マンションの規約を無視して、毛むくじゃらのペットをこっそり飼い散らかしている不届き者は野放しにされているというのに、なぜ健気な燕ばかりが追放されねばならんのだ。この矛盾。この不条理。

どうにかして燕を呼び戻そうと、俺の脳髄をフル回転させて知恵を絞るのだが、出てくるのは溜息と呪詛の言葉ばかりだ。

​というわけで、ようこそ、哀しみの侍ジャパン・スポーツ新聞アーカイブへ。

 

 

 

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​侍ジャパンに菅野智之が還ってきた。

還ってきたといっても、この紙面が踊っている時点では「内定」だ。内定。なんだそれは。就活に勤しむ大学生か。リクルートスーツでも着てマウンドに上がるつもりか。

​しかし、菅野だ。

2017年以来の代表復帰。2021年の東京五輪、あの時はコンディション不良という、なんともやるせない理由で辞退を余儀なくされた。それを思えば、今、彼の名前がリストにあるという事実にわたしの胸の内は熱い何かがこみ上げ、感極まって爆発寸前である。

菊池雄星の初招集と、菅野の復帰。このドラマチックな展開に全世界の俺が泣いた、はずなのだが、事前に情報がダダ漏れになっているせいで、いざ新聞を広げても「知ってた」という冷めた感情が頭をもたげる。興醒めだ。情報のスピードが、俺の感動を追い越していきやがる。

 

 

 

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​見てみろ、この見出し。

「由伸GO」に「朗希NO」

これぞスポルツ新聞の真骨頂。コピーのセンス? そんなもん、ドブ川に捨ててきたに決まっている。ゼロだ。皆無だ。だが、それでいい。いや、それがいい。

ドジャース様が「山本由伸はいいけど、佐々木朗希はいけません」と宣っているという話を、これほどまでに短絡的かつ暴力的な言葉で表現するその蛮勇。

​結局その通りになったわけだが、わたしが言いたいのは一つだ。いちいち先走って流すなよ。

正式発表まで、そのお喋りな口にチャックをして、じっと黙っていられないのか。我慢という言葉を知らんのか、この情報ジャンキーどもめ。

 

でめまあ、​わたしにとっては、山本や佐々木の去就よりも、紙面の片隅にひっそりと、しかし強烈な異彩を放って鎮座している「ファイターズ水谷瞬、WBCイギリス代表に招集か」という記事の方が、よっぽど魂を揺さぶる衝撃映像なのだ。

注目度爆上がり間違いなし……と思っているのは俺わたしだけか。そうなのか。

​結局、水谷がユニオンジャックを背負う日は来なかった。だが、もし、もしもそれが実現していたら……。

俺は狂喜乱舞し、全裸でマンションの廊下を走り回っていたに違いない。ああ、残念でならない。実に見果てぬ夢であった。

 

 

発行日:2025年12月13 日

新聞名:スポーツ報知

内容:菅野智之、侍ジャパン入りに内定