WBC2026:カーショーというサプライズ

それは、終わったはずの時間が、もう一度だけこちらに振り向き、動き出した、という種類のニュースだった。
昨季限りでマウンドを降りたクレイトン・カーショーが、3月に行われるワールド・ベースボール・クラシック2026で、アメリカ代表として再び名前を連ねるという。
現役18年。サイ・ヤング賞3度、ワールドシリーズ制覇3度、3000奪三振。
数字は整然としているが、その裏側にあるのは、ロサンゼルスの午後や、肘の痛みや、もう戻らないフォームの記憶だ。
ドジャースタジアムでのワールドシリーズ第3戦。あの救援登板が最後になるはずだった。そう、誰もが思っていた。
前回大会でも彼は一度、代表に選ばれている。ただし、その物語は保険会社の書類一枚で途切れた。
投げる前に、投げられなくなった。その事実だけが残った。
MLB公式インスタグラムは短く記す。
「彼のストーリーはまだ終わってない」
たしかに、そうなのかもしれない。
ただ、その続きを誰が望んだのか、本人なのか、国なのか、あるいは時代なのかは、まだはっきりしない。
少なくとも、終わったと思われていたページが、もう一度だけ、静かにめくられた。それだけは確かだ。
