侍ジャパンと、ユニフォームと

野球日本代表、すなわち侍ジャパンのユニフォームなどに関する二、三の事柄。日本代表ネタ、国際大会ネタがないときは野球カードでつなぎます。お許しを。

WBC2026:稲葉浩志のウルトラソウルが炸裂するタッチ!タッチ!ここにタッチ!

WBC2026で再構築された「タッチ」


ベールという言葉は、ときに真実を隠すためではなく、期待という名の疑念を熟成させるためにある。

WBC2026、そのNETFLIX公式大会応援ソング「タッチ」だと知ったとき、私はまず時代の裂け目を思った。

1985年。あの夏の匂いをまとった旋律が、2026年へと、いったいどのような理屈で跳躍してくるのか。

 

歌うのは稲葉浩志。

この一点だけで説明は十分、のはずなのに、人はそう簡単に納得しない。

WBCといえば、あの「Separate Ways」である。

勝手に血圧を上げてくるあのイントロを、私たちは身体のどこかに飼い慣らしてきた。だからこそ、「稲葉か」「タッチか」という、どこか所在なげな懐疑が胸の奥に居座った。

期待は、正直なところ薄かった。

 

だが、未明に公開されたスペシャルムービーを目にした瞬間、その慎重さは無意味になった。

オ・ネ・ガ・イ

唐突なお願いとともに始まった映像と歌声はそれぞれ結託し、くすぶった日常を蹴飛ばしていく。

つまらない男のアンザイエティ、勝手に肥大した諦念、そうしたものが一瞬で霧散されていく。

あのサビは、もはやノスタルジーではない。国境と世代をまたぐ、祝祭の装置へと変貌していた。

侍ジャパンのユニフォームが翻り、歓声が波のように押し寄せるたび、1985年は懐古ではなく現在形になる。

WBCを愛する者、野球に取り憑かれた者であるなら、このカバーを拒む理由はどこにも見当たらない。新たなスタンダード誕生の可能性はじゅうぶんにある。

これは単なるリメイクではない。時間そのものを味方につけた、世紀の再起動である。もう20年前となる第1回大会からワールド・ベースボール・クラシックという大会を見守りつづけてきたファンには、ことさらな完成度である。

 

結局のところ、言えることはひとつだ。

やられた。

NETFLIXは、野球ファンの感情の急所を、正確に撃ち抜いてきたのである。