侍ジャパンと、ユニフォームと

野球日本代表、すなわち侍ジャパンのユニフォームなどに関する二、三の事柄。日本代表ネタ、国際大会ネタがないときは野球カードでつなぎます。お許しを。

WBC2026 1次ラウンド・プールB展望 イギリス編:欧州戦線に宣戦布告──断片の王国が継投と長打で秩序を解体する

イギリス代表編

プールB

2026年 3月6日〜11日

アメリカ:ヒューストン(ダイキン・パーク)

🇺🇸 アメリカ

🇲🇽 メキシコ

🇮🇹 イタリア

🇬🇧 イギリス

🇧🇷 ブラジル(予選通過チーム)


第4回大会まではWBC本選出場は16ヶ国で、1次ラウンドは各プール4ヶ国のリーグ戦で争われていたが、前大会からは出場が20ヶ国となり、1次ラウンドは5ヶ国で戦うことになった。

1次ラウンドは4つのプールに分けられ、それぞれサンファン、ヒューストン、東京、マイアミが会場となる。

今回はアメリカのヒューストンが舞台となる、プールBのイギリスを見ていきたい。

 

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イギリス代表について

WBSCランキング:19位


イギリス。正式には、グレートブリテン及び北部アイルランド連合王国。

サッカーならイングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドと分かれ、それぞれがそれぞれの物語を背負う。しかし野球では、分裂は許されない。名はひとつに束ねられる。

歴史を遡れば、イギリスは野球ワールドカップ初代王者である。もっとも、参加国はアメリカとの二者のみ。世界という言葉がまだ拡張しきっていなかった時代の、ほとんど寓話のような優勝。それでも、記録は記録として残り、記憶の底で燻り続ける。

現在の代表は、国内リーグの選手では構成されていない。ナショナル・ベースボール・リーグの名はあれど、その中心にいるのは海の向こうで生き延びる者たちだ。MLB傘下のマイナーリーガー、あるいはアメリカ独立リーグの選手たち。祖先や血縁、パスポートの資格が、彼らをひとつのユニフォームへと導く。国家とは地理ではなく、接続の形式にすぎないのだとでも言うように。


投手陣、とりわけ先発は心許ない。試合を長く支配する絶対的な腕は見当たらない。だからこそ、継投という選択肢に現実を預ける。短いイニングを刻みながら、綻びを縫い合わせ、僅差に持ち込み、そこで賭ける。勝利とは設計図よりも、執念の総量に近い。

目標は明快だろう。次回大会への出場権を掴むこと。派手な野望ではない。だが、この代表にとっては、存在を継続させるための最低条件でもある。

 

 

 

主な国際大会の成績

ワールド・ベースボール・クラシック

2006年 第1回WBC:不参加

2009年 第2回WBC:不参加

2013年   第3回WBC:予選敗退

2017年   第4回WBC:予選敗退

2023年  第5回WBC:1次ラウンド敗退

 

オリンピック

1984年  ロス五輪:欧州予選敗退

1988年  ソウル五輪:欧州予選敗退

1992年   バルセロナ五輪:欧州予選敗退

1996年   アトランタ五輪:欧州予選敗退

2000年 シドニー五輪:欧州予選敗退

2004年 アテネ五輪:欧州予選敗退

2008年 北京五輪:世界最終予選辞退

2021年   東京五輪:欧州予選敗退

 

WBSCプレミア12

2015年   第1回プレミア12:ランキング外

2019年   第2回プレミア12:ランキング外

2024年  第3回プレミア12:ランキング外

 

 

 

イギリス代表メンバー

投手

ジャック・アンダーソン(62 MLB傘下)

ブレンダン・ベック(19 MLB傘下)

T・ベック(43 サンフランシスコG)

ドノバン・ベノワ(41 MLB傘下)

チャベス・フェルナンデル(46 MLB傘下)

ゲイリー・ギル・ヒル(17 MLB傘下)

アントニオ・ノウルズ(53 MLB傘下)

マイルズ・ラングホーン(45 MLB傘下)

ライアン・ロング(35 MLB傘下)

マイケル・ピーターセン(22 マイアミM)

ジャック・セッピングス(27 フリー)

グラハム・スプラカー(96 米独立L)

ナジェル・ビクター (8MLB傘下)

タイラー・ビザ(21 米独立L)

ニック・ウェルズ(23 MLB傘下)

オーウェン・ワイルド(34 MLB傘下)

ヴァンス・ウォーリー(49 フリー)

 

捕手

ウィル・クレスウェル(30 MLB傘下)

ハリー・フォード(1シアトルM)

 

内野手

ジャズ・チザムJr( 3 ニューヨークY)

ネイサン・イートン(18 ボストンRS)

ルシウス・フォックス (9 MLB傘下)

アイヴァン・ジョンソン(15 MLB傘下)

イアン・ルイスJr(6 MLB傘下)

BJ・マレー(7 MLB傘下)

ニック・ワード(5 MLB傘下)

 

外野手

マット・コペルニアック(29 MLB傘下)

クリスチャン・ロビンソン(59 MLB傘下)

トレイス・トンプソン(28 FA)

ジャスティン・ワイリー(13 MLB傘下)

 

 

 

注目選手

捕手

ハリー・フォード(ワシントンN)

2003年生 23歳

両親は英国出身。パスポートは二つ、帰属もまた二重に揺れる。その揺れを、彼は曖昧さではなく推進力に変えてきた。

前回大会の予選では打率4割5分5厘、3本塁打、8打点。

数字は熱を帯び、イギリスを初の本大会へと押し上げた。本大会では4番に据えられ、4試合で打率3割8厘、2本塁打、4打点、OPS1.246。

小国の挑戦を一過性の物語で終わらせなかったのは、彼の打席における持続だった。


2021年ドラフト1巡目、全体12位。シアトル・マリナーズがその才能を指名した。昨年9月、メジャーの空気を吸う。8試合で6打数1安打。結果だけ見れば微細だが、経験は別の単位で蓄積されるだろう。

同年12月、ナショナルズへ移籍。評価は揺らがない。MLB公式のプロスペクトランキングで全体42位、球団内2位、捕手では全体3位。若さと希少性、その両方を備えた存在だ。

 

内野手

ジャズ・チザム(ニューヨークY)

1998年生 27歳

バハマに生まれ、血の線はイギリスへと伸びる。その越境の経路が、彼を代表へと接続した。

本職は内野、ときに外野。守る場所は固定されない。だが打席に立てば、役割は明確だ。強振。フルスイング。打球は角度を持って上がり、走塁では一瞬の躊躇もない。長打とスピードを同時に抱え込む、現代い野球が好む身体性をそのまま体現する選手といえるだろう。

奔放さの内側に計算が忍び込み、派手さの裏で、選球眼も、守備の適応も確かに磨かれている。

イギリス代表にとって、彼は単なる戦力以上の意味を持つ。中心打者であり、空気を変える存在。試合が停滞すれば、ひと振りで亀裂を入れることができる。

劣勢であっても、スイングひとつで物語の進行方向を書き換える可能性を持つ。

イギリス代表は、まだ安定よりも振幅の側にある。だからこそ、チザムのような選手は不可欠だ。整いきらないチームに、過剰なまでの推進力を与える装置。

国籍は制度だが、衝動は制度に従わない。

ジャズ・チザムは、その衝動を隠さない。

イギリスが次の大会で何を掴むにせよ、その試みの中心で、彼はまた大胆に踏み込むはずだ。

 

 

 

1次ラウンド・プールB イギリス代表日程(日本時間)

プールB

ダイキン・パーク(米・ヒューストン)


3月7日(土) 03:00

🇲🇽 メキシコ vs イギリス 🇬🇧


3月8日(日) 10:00

🇬🇧 イギリス vs アメリカ 🇺🇸


3月9日(月) 03:00

🇬🇧 イギリス vs イタリア 🇮🇹


3月10日(火) 02:00

🇧🇷 ブラジル vs イギリス 🇬🇧

 


決勝ラウンド日程(日本時間)

準々決勝1

ダイキン・パーク

2026年3月14日(土) 9:00

POOL B 1位 ー POOL A 2位


2026年3月15日(日)

4:00 POOL A 1位 ー POOL B 2位


※アメリカが進出した場合はPOOL Bでの順位に関わらず、3月14日(土)に試合が行われます。

 

準々決勝2

ローンデポ・パーク

2026年3月14日(土) 7:30

POOL D 1位 ー POOL C 2位


2026年3月15日(日) 10:00

POOL C 1位 ー POOL D 2位 


※日本が進出した場合はプールCでの順位に関わらず、3月15日(日)に試合が行われます。

 

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準決勝

ローンデポ・パーク

2026年3月16日(月) 9:00

準々決勝 勝者 ー 準々決勝 勝者


2026年3月17日(火) 9:00

準々決勝 勝者 ー 準々決勝 勝者


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決勝

ローンデポ・パーク

2026年3月18日(水) 9:00

準決勝 勝者 ー 準決勝 勝者