台湾代表編
プールC
2026年3月5日〜10日
日本/東京(東京ドーム)
🇯🇵 日本
🇦🇺 オーストラリア
🇰🇷 韓国
🇨🇿 チェコ
🇹🇼 台湾(予選通過チーム)
第4回大会まではWBC本選出場は16ヶ国で、1次ラウンドは各プール4ヶ国のリーグ戦で争われていたが、前大会からは出場が20ヶ国となり、1次ラウンドは5ヶ国で戦うことになった。
1次ラウンドは4つのプールに分けられ、それぞれサンファン、ヒューストン、東京、マイアミが会場となり、日本は当然のことにプールCとなる東京プールで戦う。
ということで、1次ラウンド東京プールを展望していきたい。
今回は、予選を勝ち上がり復活した第3回プレミア12優勝国台湾代表。
🔽Contents🔽
台湾代表について
WBSCランキング:2位
アジア三強の一角で、現在のWBSC世界野球ランキングでは2位につけているアジアの強豪国。
とはいえ、メジャーリーガー参戦の国際大会がWBCのみということもあり、このランキングにはあまり意味はなく、アジア勢が上位に入りやすい。
現在のランキングトップ4は日本、台湾、アメリカ、韓国である。 WBCにおいては、このランキングは参照にならない。
本来なら台湾ドームでの1次ラウンド開催を目指していたはずだが、前大会でまさかのプールA最下位となり予選降格となってしまった。そこからプレミア12優勝へと這い上がり、予選も突破し本選出場を決めた。
WBC1次ラウンド東京プールで、アジア三強が揃うのは2009年の第2回大会以来である。
かつて台湾の野球は、打つことで世界を押し切ろうとしていた。打って、打って、それでも足りなければ、さらに打つ。
「打高投低」という便利な言葉が、説明である前に、免罪符のように使われていた時代だ。だが、2020年シーズン後半に公式球の反発係数が見直された。
ボールが変わると、野球は声高に変わるわけではない。ただ、重心が、ほんの少しずつ移動していく。打つこと一辺倒だった世界に、守ること・走ること・考えることが、静かに戻ってきた。
日本人指導者の関与もあり、投手育成は目に見えない速度で進んでいく。速い球だけではない。変化球だけでもない。
その両方を持ちながら、どう抑えるかを知っている投手が、確実に増えてきた。
数字だけを見れば派手さはないが、国際大会の時間の流れに耐えられる投手たちだ。
先発から中継ぎへ、そして終盤へ。
継投の線が、以前よりもはっきりと引けるようになっている。
試合を「締める」という感覚を、台湾はようやく自分たちのものにし始めたのかもしれない。
投手陣だけを切り取れば、今回の代表は、過去最高と言っても大げさではない。
一方で、分かりやすい大砲はいない。
だが、塁間を落ち着きなく動き、相手に選択を迫る野球がある。
一発で試合を壊すよりも、打率、出塁率、走塁を積み重ねて、相手の集中を削っていく。
ゲームを組み立てるという行為を、ようやく本気で信じ始めたチームの姿がある。
静かに、しかし確実に。
台湾は、かつてとは別の形の強さを手に入れつつある。その変化に気づいたとき、試合はもう、簡単には終わらない。
終わらせてくれない野球をするチームになり始めている。
主な国際大会戦績
ワールド・ベースボール・クラシック
2006年 第1回WBC:1次ラウンド敗退
2009年 第2回WBC:1次ラウンド敗退
2013年 第3回WBC:2次ラウンド敗退
2017年 第4回WBC:1次ラウンド敗退
2023年 第5回WBC:1次ラウンド敗退
オリンピック
1984年 ロス五輪:3位
1988年 ソウル五輪:8位
1992年 バルセロナ五輪:銀メダル
1996年 アトランタ五輪:アジア地区予選敗退
2000年 シドニー五輪:アジア地区予選敗退
2004年 アテネ五輪:5位
2008年 北京五輪:8位
2021年 東京五輪:世界最終予選出場辞退
プレミア12
2015年 第1回プレミア12:9位
2019年 第2回プレミア12:5位
2024年 第3回プレミア12:優勝
WBC2023 台湾代表
投手
スチュアート・フェアチャイルド(17 MLB傘下)
古林睿煬/グーリン・ルェヤン(11 北海道日本ハムF)
林詩翔/リン・シーシャン(12 台鋼H)
李東洺/リー・ドンミン(16 富邦G)
徐 若熙/シュー・ルオシー(18 福岡ソフトバンクH)
張奕/ジャン・イー(19 富邦G)
陳冠宇/チェン・クアンユー(20 楽天M)
張峻瑋/ジャン・ジュンウェイ(37 福岡ソフトバンクH)
林威恩/リン・ウェイン(42 MLB傘下)
林 昱珉/リン・ユーミン(45 MLB傘下)
鄭浩均/チェン・ハオチュン(47 中信B)
荘陳仲敖/チェン・ジョンアオ・荘(48 MLB傘下)
胡智偉/チーウェイ・フー(58 統一L)
曾峻岳/ジュンユエ・ツェン(60 富邦G)
沙子珍/(92 MLB傘下)
孫易磊/サン・イーレイ(96 北海道日本ハムF)
林凱威/リン・カイウェイ(99 味全D)
捕手
蔣少宏/チャン・シャオフン(63 味全D)
ギリギラウ・コンクアン(4 味全D)
林家正/ライル・リン(27 FA)
内野手
鄭宗哲/チェン・ツェンチー(FA)
張育成/ジャン・ユーチェン(18 富邦G)
李灝宇/リー・ハオユー(55 MLB傘下)
林子偉/リン・ツウェイ(15 楽天M)
ジョナサン・ロング(22 MLB傘下)
呉念庭/ウー・ネイティン(39 台鋼H)
江坤宇/ジャン・クンユー(90 中信B)
外野手
スチュアート・フェアチャイルド(17 MLB傘下)
陳 傑憲/チェン・ジェシェン(24 統一L)
陳晨威/チェン・チェンウェイ(98 楽天M)
林安可/リン・アンクー( 77 埼玉西武L)
スタメン予想
しばらくお待ちください。
注目選手
投手
古林睿煬/グーリン・ルェヤン(北海道日本ハムF)
2000年生 25歳
最速157キロ。オーバースローから放たれるフォーシームは、その速度だけで十分に物語を持ち、「火球男」と呼ばれ、本人もまた、そのストレートを疑っていない。疑わないというより、そこに立脚してすべてを組み立てている。
そこへフォーク、カーブ、スライダーが重なる。とりわけフォークは、台湾では「絶殺球種」と呼ばれている。落ちる、というより、途中で存在を失う。あの球を見送るか、振るか、その選択を迫られた時点で、打者はもう遅れている。
2023年のアジア・プロ野球チャンピオンシップ。開幕戦の日本戦で、彼は先発マウンドに立った。6回途中まで、完全試合。スタンドの空気が、少しずつ変わっていくのが分かる投球だった。
日本のファンは、点ではなく沈黙を見せられ、その沈黙の正体が誰なのかを意識し始める。あの夜、古林睿煬という名前は、記録よりも先に記憶に残った。次の舞台はもう決まっている。
捕手
ギリギラウ・コンクアン(味全D)
1994年生 31歳
台湾原住民族、パイワン族。
その出自は、野球の成績よりも先に、彼の存在の奥行きを示しているように見える。
捕手というポジションも、どこか象徴的だ。前に出るより、後ろで受け止める役割で、試合の音を、もっとも近くで聞ける場所である。
アメリカではマイナーリーグ3Aまで辿り着いた。だが、そこで物語が完成したわけではない。
2021年、台湾に戻る。
戻るという行為は、後退ではなく、選び直しだったのだろう。
2022年、2023年。2年続けて本塁打王。数字だけを並べれば、強打の捕手という言葉で片づけられてしまう。
だが、彼のスイングには、どこか間の取り方のようなものがある。力で押し切るというより、溜めて、待って、最後に振り切る。
内野手
張育成(富邦G)
1995年生 30歳
張育成は、すでに一度、外の世界を知っている。レッドソックスをはじめ、メジャーリーグで過ごした4年間。
それは華やかな成功譚というよりも、日々の選択と適応の積み重ねだったはずだ。
前大会では、台湾代表は一次ラウンドで姿を消した。大会の結果だけを見れば、そこで物語は終わってしまう。だが、張育成だけは、終わらなかった。
台中ラウンドMVP。
一塁手として大会ベストナイン。
敗退したチームから、静かに、しかしはっきりと浮かび上がった名前だった。
勝敗とは別の場所で、確かに「残る」プレーがあった。
内野なら、どこでも守れる。
ユーティリティという言葉でまとめることもできるが、代表において求められるのは、便利さよりも、安定だ。おそらく今回も、彼の居場所は一塁になる。
鄭宗哲(FA)
2001年生 24歳
鄭宗哲のプレーは、音が小さい。
走るときも、守るときも、何かを誇示するような動きがない。だが、気づけば彼は、いつも次の場面の起点にいる。
走塁と守備。
その二つは、結果として数字に残りにくい。それでも、試合の流れを少しずつ傾ける力がある。
打線では、中軸へとつなぐテーブルセッターとして機能してほしい。かつて不足だと言われてきたパワーも、時間をかけて形を変えつつある。
前大会では、1次ラウンド全4試合を「1番・二塁」で出場した。
15打数5安打、打率3割3分3厘、3打点。
派手な数字ではないが、試合を始める役割としては、十分すぎるほどだった。
初回に彼が塁に出るかどうかで、台湾の攻撃の呼吸が決まっていた。
昨年4月、メジャーデビュー。3試合という短い時間だが、その事実だけで彼の立ち位置は変わる。
3Aでは107試合に出場し、打率2割9厘。
本塁打は1本。それでも36打点という数字が示すのは、打点を「拾える」場所に、きちんと立っているということだ。
鄭宗哲は、チームを引っ張るタイプではない。だが、攻守の境目で、試合を前に進める力を持っている。
走り、守り、つなぐ。
その繰り返しの中で、台湾の野球は、少しずつ速度を上げていく。
外野手
陳傑憲(統一L)
1994年生 32歳
陳傑憲の打撃は、強く振っているように見えても、当たりはいつも均質だ。ミート力が高い、という言葉では足りない。同じ動作を何度でも繰り返せるという感覚に近い。
バッティングフォームの手本は、広島の秋山翔吾だというが、似せることよりも、なぜ打てるのかを理解しようとする姿勢が、そこにある。
2018年、最多安打。2020年、首位打者と最多安打。これらのタイトルは、爆発力ではなく、日常の積み重ねの結果だ。
出場し、打席に立ち、凡打も含めて受け入れる。その反復が、数字として残っただけのことだ。
2024年の第3回WBSCプレミア12では、台湾代表の主将として、強力なキャプテンシーを発揮し、下馬評の低かったチームを初優勝に導いた。
打率6割2分5厘。2本塁打。MVP、首位打者、最優秀守備選手、ベストナイン。
WBC2026で、台湾代表がどんな野球をしようとしているのか。その答えは、彼の最初のスイングを見れば、だいたい分かるのかもしれない。
林安可(埼玉西武L)
1997年 28歳
林安可の打球は、速い。
飛ぶ、というより、一直線に抜けていく。
左打者特有のしなやかさの中に、はっきりとした重さがある。
2020年に新人王、打点王、本塁打王。
1年で三つの肩書きを手に入れるというのは、偶然では起きない。パワーだけでは足りず、コンタクトだけでも届かない。その両方を、同時に成立させていた。
母はアルゼンチン人。WBC予選を戦うアルゼンチン代表から、声がかかったこともある。選択肢がある、という事実は、選手を少しだけ大人にする。
それでも彼は、台湾を選んだ。
その決断は、声高に語られるものではないが、静かに残る。
中軸を打つ、という役割。
林安可は、振るべき場面で、振ることを躊躇しない。それができるのは、力を信じているからではなく、力をどう使えばいいかを知っているからだ。
2025年のオフ、埼玉西武へ。
WBC2026。林安可が打席に立つとき、台湾のベンチは、少しだけ呼吸を整える。
この打者に回せばいい、という時間が、確かに存在する。
1次R 台湾戦日程
プールC
東京ドーム(日本・東京)
3月5日(木) 12:00
🇹🇼 台湾 vs オーストラリア 🇦🇺
3月6日(金) 19:00
🇯🇵 日本 vs 台湾 🇹🇼
3月7日(土) 12:00
🇹🇼 台湾 vs チェコ
3月8日(日) 12:00
🇹🇼 台湾 vs 韓国 🇰🇷
決勝ラウンド日程(日本時間)
準々決勝1
ダイキン・パーク
3月14日(土) 9:00
POOL B 1位 ー POOL A 2位
3月15日(日)4:00
POOL A 1位 ー POOL B 2位
※アメリカが進出した場合はPOOL Bでの順位に関わらず、14日(土)に試合が行われる。
準々決勝2
ローンデポ・パーク
3月14日(土) 7:30
POOL D 1位 ー POOL C 2位
3月15日(日) 10:00
POOL C 1位 ー POOL D 2位
※日本が進出した場合はプールCでの順位に関わらず、15日(日)に試合が行われる。
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準決勝
ローンデポ・パーク
3月16日(月) 9:00
準々決勝 勝者 ー 準々決勝 勝者
3月17日(火) 9:00
準々決勝 勝者 ー 準々決勝 勝者
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決勝
ローンデポ・パーク
3月18日(水) 9:00
準決勝 勝者 ー 準決勝 勝者