侍ジャパンと、ユニフォームと

野球日本代表、すなわち侍ジャパンのユニフォームなどに関する二、三の事柄。日本代表ネタ、国際大会ネタがないときは野球カードでつなぎます。お許しを。

WBC2026 1次ラウンド・プールD展望 オランダ代表編:二つの海、一つの誇り、オレンジの絆が世界を染める

オランダ代表編

プールD

2026年3月6日〜11日

アメリカ/マイアミ(ローンデポ・パーク)

🇻🇪 ベネズエラ

🇩🇴 ドミニカ共和国

🇳🇱 オランダ

🇮🇱 イスラエル

🇳🇮 ニカラグア(予選通過チーム)

 

第4回大会まではWBC本選出場は16ヶ国で、1次ラウンドは各プール4ヶ国のリーグ戦で争われていたが、前大会からは出場が20ヶ国となり、1次ラウンドは5ヶ国で戦うことになった。

1次ラウンドは4つのプールに分けられ、それぞれサンファン、ヒューストン、東京、マイアミが会場となる。

今回は、侍ジャパンとは準々決勝で対戦する可能性があるマイアミのプールD、ヨーロッパ最強国オランダ代表。

 

 

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オランダ代表について

WBSCランキング:9位

オランダという国名を耳にしたとき、多くの人が思い浮かべるのは、きっと低い空と運河と自転車だろう。

しかし、WBCのオランダ代表を語るとき、そのイメージは必ず裏切られる。

この代表チームは、オランダ本国だけで完結していない。アルバがあり、キュラソーがあり、シント・マールテンがある。

かつて旧オランダ領アンティルと呼ばれた、カリブ海に点在する島々。その暑さと湿度のなかで、野球は生活の一部として根を張ってきた。

ヨーロッパのチームでありながら、オランダ代表がどこか中南米の匂いをまとっているのは、そのためだ。

歴史は古い。1912年にオランダ王立野球・ソフトボール協会が生まれ、1922年には国内リーグ、フーフトクラッセが始まった。数字だけを追えば、欧州野球の正統であるり、実際、ヨーロッパ野球選手権では最多優勝を誇るのである。

 

ただし世界に出ると、話は少し変わる。

メジャーリーガーが集うWBCと、それ以外の国際大会とでは、まるで別のチームのような顔を見せる。

オリンピックなど、WBC以外の国際大会では本土組中心のメンバー構成になり、なかなか結果は出ないのだが、WBCではカリブ組が加わり、別のチームに変貌する。

第1回WBCでシャイロン・マルティネスが7回コールドではあるが大会史上初のノーヒットノーランを達成したとき、これは偶然ではないのだと誰もが思った。

第2回大会ではドミニカ共和国を二度破り、静かに、しかし確実に存在感を刻みつけた。

第3回大会でのベスト4進出は、ヨーロッパ勢として初。第4回大会でも再び4強に残り、「たまたま強い国」という疑いは、もう誰も口にしなくなった。

 

このチームには、長年培われてきた役割分担がある。

投手は本土組、野手はカリブ組。理屈としては、わかりやすい成功モデルだろう。

だが、その均衡がいま、静かに崩れつつある。投手も野手も、どちらも人材が潤沢とは言いがたい。

象徴的なのがショートだ。

かつてはアンドレルトン・シモンズ、ディディ・グレゴリアス、ザンダー・ボガーツ、ジュリクソン・プロファーと、名前を挙げるだけで一つの時代が立ち上がる“ショート大国”だった。今はその余韻だけが残り、現実は人材難という言葉でしか表現できない。攻撃も守備も、世代交代の波に飲み込まれている。

オランダ代表はいま、完成されたチームではない。むしろ、作り直しの途中にある。その不安定さこそが、次の強さの前触れなのか、それとも衰退の兆しなのかは、まだ誰にもわからない。

その舵取りを任されているのが、監督のアンドリュー・ジョーンズだ。

かつて東北楽天ゴールデンイーグルスのユニフォームにも袖を通した男は、オランダ野球の「記憶」そのものでもある。

過去を知る者が、未来をどう描くのか。WBC2026のオランダ代表は、その問いを、静かにこちらへ投げかけてくる。

 

 

 

主な国際大会の成績

ワールド・ベースボール・クラシック

2006年 第1回WBC:1次ラウンド敗退

2009年 第2回WBC:1次ラウンド敗退

2013年 第3回WBC:ベスト4

2017年 第4回WBC:ベスト4

2023年 第5回WBC:1次ラウンド敗退

 

オリンピック

1984年 ロス五輪: 欧州大陸予選敗退

1988年 ソウル五輪: 予選リーグ敗退

1992年 バルセロナ五輪:欧州大陸予選敗退

1996年 アトランタ五輪:5位

2000年 シドニー五輪:5位

2004年 アテネ五輪:6位

2008年 北京五輪:7位

2021年 東京五輪:世界最終予選敗退

 

WBSCプレミア12

2015年 第1回プレミア12:5位

2019年 第2回プレミア12:12位

2024年 第3回プレミア12:9位

 

 

 

オランダ代表メンバー

投手

ジャムドリック・コルネリア(30 MLB傘下)

ジェイデン・エスタニスタ(32 MLB傘下)

ウェンデル・フロラヌス(99 FA)

アリジ・フランセン(17 FA)

ラース・フイエル(16 FA)

ケンリー・ジャンセン(74 デトロイトT)

アントワン・ケリー(58 ピッツバーグP)

ジェイトワン・ケリー(34 MLB傘下)

ケビン・ケリー(33 FA)

シャイロン・マルティス(39 FA)

エリック・メンデス(29 FA)

リュジェテリ・メリット(52 MLB傘下)

ジャスティン・モラレス(46 FA)

ショーンドリック・オドゥバー(35 MLB傘下)

フアン・カルロス・スルバラン(45 FA)

デレク・ウェスト(00 FA)

ディラン・ウィルソン(20 MLB傘下)

 

捕手

ヘンドリック・クレメンティナ(12 FA)

チャドウィック・トロンプ(14 MLB傘下)

 

内野手

オジー・オルビーズ(1 アトランタB)

ザンダー・ボガーツ(2 サンディエゴP)

ディディ・グレゴリウス(18 FA)

ジュレミ・プロファー(13 FA)

シャロン・スコープ(15 FA)

 

外野手

デイソン・クローズ(5 MLB傘下)

レイ・パトリック・ディダー(11 FA)

ドゥルー・ジョーンズ(4 MLB傘下)

ジュリクソン・プロファー(10 FA)

セダンヌ・ラファエラ(3 ボストンRS)

デラノ・セルサッサ(22 FA)

 

 

 

スタメン予想

1.(中)セダンヌ・ラファエラ

2.(二)オジー・オルビーズ

3.(左)ジュリクソン・プロファー

4.(遊)ザンダー・ボガーツ

5.(三)ディディ・グレゴリウス

6.(指)ジュレミ・プロファー

7.(一)シャロン・スコープ

8.(捕)チャドウィック・トロンプ

9.(右)ドゥルー・ジョーンズ

 

 

 

注目の選手

捕手

チャドウィック・トロンプ (MLB傘下)

1995年生 30歳

アルバ出身の強打のキャッチャー。オランダ代表のキャッチャーの中で、メジャーリーグを実際に知っている人間は、彼しかいない。知っている、というのは記録の話ではなく、空気の話だ。

ベンチの湿度、マウンドとの距離、負け方の種類。そのすべてを一度は身体に通している、という事実。

その事実が、代表スタメンマスクをほとんど自動的に彼の顔に重ねてしまう。

 

前回のWBC。ホームランのあと、全員で「ウーッ!」と叫ぶ、あの少し騒がしすぎる祝祭の中心に、彼は立っていた。

誰よりも声が大きかったわけではない。だが、妙に目が離せなかった。メジャー経験者のオーラ、などという便利な言葉で片づけてしまえば簡単だが、実際にはもっと曖昧で、もっと確かな何かだった。

 

捕手という役割は、チームの背骨に近い。トロンプは、その背骨に、異国の重みと、少しの孤独を背負わせている。だからこそ、彼がそこに座るだけで、オランダ代表はほんのわずかだが、現実味を帯びる。野球という競技が、急に具体的な音を立てはじめるのだ。

 

 

内野手

サンダー・ボガーツ(サンディエゴP)

1992年生 33歳

期待、という言葉は、若い選手にとって祝福であると同時に、長い影でもある。

サンダー・ボガーツは、その影の中からメジャーリーグに姿を現した。レッドソックスの超有望株として。

2014年のメジャーデビューは、未来がすでに約束されているかのようなそんな空気をまとっていた。

打撃タイトルは、結局のところ彼の履歴書には刻まれていない。だが毎年のように打率は三割前後に落ち着き、気がつけばオールスターレベルの遊撃手という居心地の悪くない場所に立っていた。

 

2023年、サンディエゴと結んだ11年2億8000万ドルという契約は、もはや契約というより物語の転調だった。

ボストンを離れ、西海岸の光の中に身を置く。しかし成績は過去の自分を追い越してはくれない。数字は正直で、ボストン時代を下回るシーズンが、淡々と積み重なっていった。

かつての「中心」は、静かに横へずれる。そこにドラマチックな衝突はない。ただ、時間だけが流れる。

それでもボガーツは、ボガーツであり続けている。WBCの舞台に現れる彼は、全盛期の象徴ではなく、むしろキャリアというものが持つ重さそのものだ。

順風でも逆風でもない、ただ進み続けるという選択。その姿が、この代表チームに、静かな奥行きを与えている。

 

オジー・アルビーズ (アトランタB) 

1997年生 29歳

3度のオールスター。2度のシルバースラッガー。

だが実際の彼は、もっと小さい。体格の話だ。フィールドに立てば、周囲の巨体に埋もれてしまいそうなサイズ。

しかし、打席に入るときの構えには、左右どちらからでも同じだけの自信が滲む。両打ちという選択肢を、器用さではなく、生存戦略として使いこなしてきた二塁手。軽やかだが、軽くはない。

プロ入り以来、アトランタ・ブレーブス一筋のプレイヤー。

本物のフランチャイズプレイヤー、という言葉は安易だが、彼の場合、それはほとんど生活態度に近い。

 

しかし、時間はどんな選手にも平等だ。2023年の故障離脱。そこから、数字がわずかに、しかし確実に翳りを帯びる。

打撃成績の悪化は、静かに立場を揺らす。かつての「不可欠」は、いつの間にか「様子見」に変わる。ベンチの空気が、ほんの少しだけ違ってくる。

その怪我が原因で、前回のWBC出場も辞退した。

小柄な身体に蓄えられた実績と、不安。アルビーズは今、その両方を抱えながら二塁に立つ。

揺らぎつつある立場さえも、彼のキャリアの一部として静かに編み込まれていく。派手な復活劇があるかどうかはわからない。ただ、グラウンドに立ち続けること。それ自体が、彼の物語の核心なのかもしれない。

 

 

外野手

セダン・ラファエラ(ボストンRS)

2000年生 25歳

2025年、彼は守備という目に見えにくい価値を、確かな重さで掴み取った。

ゴールドグラブ。フィールディング・バイブル・アワード。

数字は嘘をつかない、と言うが、数字の向こう側で、彼はいつも走っていた。

スタットキャストのフィールドランバリュー。

外野手という括りのなかで、全MLBの頂点に立った名前が、そこにあった。

ボストン・レッドソックスの中堅手として、初めて刻まれたその記録は、偶然ではない。

打球が放たれる、その一瞬前から、彼はすでにそこにいる。

予測というより、確信に近い何かで。

振れば飛ぶ。走れば届く。

そして、守れば──MLBナンバー1と評されるセンターの守備が、静かに、しかし確実に、試合の流れを変えていく。

オランダ代表というユニフォームを纏うとき、その背中は、派手な言葉を拒む。

ただ、捕る。投げる。走る。

それだけで十分だと、彼は知っている。

 

 

 

1次R オランダ戦日程(日本時間)

POOL D

ローンデポ・パーク(米・マイアミ) 

 

3月7日(土) 02:00

🇳🇱 オランダ vs ベネズエラ 🇻🇪

 

3月8日(日) 02:00

🇳🇮 ニカラグア vs オランダ 🇳🇱

 

3月9日(月) 01:00

🇳🇱 オランダ vs ドミニカ共和国 🇩🇴

 

3月11日(水) 08:00

🇮🇱 イスラエル vs オランダ 🇳🇱

 

 

決勝ラウンド日程(日本時間)

準々決勝1

ダイキン・パーク

2026年3月14日(土) 9:00

POOL B 1位 ー POOL A 2位

 

2026年3月15日(日)4:00

POOL A 1位 ー POOL B 2位

 

※アメリカが進出した場合はPOOL Bでの順位に関わらず、14日(土)に試合が行われる。

 

準々決勝2

ローンデポ・パーク

2026年3月14日(土) 7:30

POOL D 1位 ー POOL C 2位

 

2026年3月15日(日) 10:00

POOL C 1位 ー POOL D 2位 

 

※日本が進出した場合はプールCでの順位に関わらず、15日(日)に試合が行われる。

 

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準決勝

ローンデポ・パーク

2026年3月16日(月) 9:00

準々決勝 勝者 ー 準々決勝 勝者

 

2026年3月17日(火) 9:00

準々決勝 勝者 ー 準々決勝 勝者

 

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決勝

ローンデポ・パーク

2026年3月18日(水) 9:00

準決勝 勝者 ー 準決勝 勝者