侍ジャパンと、ユニフォームと

野球日本代表、すなわち侍ジャパンのユニフォームなどに関する二、三の事柄。日本代表ネタ、国際大会ネタがないときは野球カードでつなぎます。お許しを。

WBC2026:ダルビッシュ有が宮崎に再臨!

ダルビッシュが侍J臨時コーチに!

 

ダルビッシュ有は、もう投げない。少なくとも今季は、マウンドには立たない。

だが彼は宮崎に現れる。

2月14日、まだ冬の影が地面に張りつくころ、宮崎で始まる侍ジャパン強化合宿に、ダルビッシュ有は「臨時アドバイザー」として姿を現す。

このニュースを目にしたとき、わたしの目からは涙が流れていた。自由に、好き勝手に、制御などできるはずもなく流れた。

 

肩書きは仮で、日程も流動的だ。けれど、そこに立つこと自体が、すでに役割なのだと、誰もが知っている。

2023年。第5回大会の記憶は、まだ生々しい。あのとき、宮崎のグラウンドにメジャーリーガーは1人しかいなかった。

ダルビッシュ有だ。

若い選手たちに混じり、彼は投げ、語り、背中を見せた。変化球の握りを教え、練習方法を共有し、ときには食事の席を整え、空気を一つに束ねた。

結果として侍ジャパンは頂点に立ち、その中心には、静かに全体を支える男の存在があった。

 

昨年10月、右肘にメスが入った。トミー・ジョン手術。

今シーズンは全休。その事実は、動かない。だから代表として名前を連ねることはできなかった。

それでも井端弘和監督は、距離を切らなかった。

「出られなくても、教えてほしいことがある」

そうした言葉の往復の末に、ダルビッシュはうなずいた。

日米通算208勝。その数字は、もう説明ではなく、履歴だ。

宮崎合宿に参加するメンバーには、史上最多となる8人のメジャーリーガーはいない。代わりに来るのがダルビッシュだ。ピッチクロック、ピッチコム。NPBにはまだない、しかしWBCでは当たり前になるルール。

滑りやすい大会球。時間に追われる投球。そうした細部を、実体験として語れる人間は限られている。

アメリカは、また強い。

ジャッジ、ローリー、ハーパー。名前を並べるだけで、圧が生まれる。

ライバルたちは侍ジャパンを倒すために、牙を研いでいる。その打席に、実際に立ち向かってきた投手の感覚──どの球が見え、どの間が怖いのか。

その生々しい言葉を、宮崎の時点でNPB組が受け取れることの意味は小さくない。

野手にとっても同じだ。メジャー投手の思考回路を、本人の口から聞ける機会など、そうはない。

 

24日、ダルビッシュは自身のXで、パドレスとの長期契約を破棄する意向を明かした。

今季は投げない。それでも彼は、「また一から勝負したい」と書いた。リハビリの先に、まだ野球があると信じている。その途中に、宮崎がある。

 

参加日程や正式な肩書きは、まだ決まっていない。

だが、すでに決まっていることが一つある。ダルビッシュ有は、また侍ジャパンの後ろに立つ。ヤンキースGM付特別アドバイザーとして宮崎を訪れる松井秀喜と並び、言葉と記憶と経験で、チームを押す。

投げないレジェンドが、最も重たい球を投げる。

それが、今回の宮崎だ。