カル・ローリーが異次元にいる
2018年MLBドラフト3巡目(全体90位)でシアトル・マリナーズに入団して以来、堅実な守備と鋭く放物線を描く一撃で、着実に階段をのぼってきた。2021年、ついにメジャー昇格。以来──崩れ落ちる気配がない。
2022年は27本塁打、翌23年は30本、そして昨季には34本。
誰もが「打てる捕手」に憧れ、「守れる捕手」が必要とされるなかで、その両方を成立させるローリーの存在はもはや概念に近い。ゴールドグラブ、さらにリーグ唯一のプラチナグラブという勲章も手にした。名実ともにマリナーズの要、いや──MLBの“最強捕手”のひとりになった。
そして2025年、つまり今
ここまで94試合に出場し、打率.259、38本塁打、82打点。OPSは驚異の1.011。大谷翔平よりも、アーロン・ジャッジよりもホームランを量産しているキャッチャー。
打って、守って、勝たせる。そんな簡単な話じゃないのに、それをやってのける。
米データサイト『FanGraphs』によると、6月29日(日本時間30日)時点でWARは「3.4」。あのアーロン・ジャッジ(4.7)に次ぐMLB全体2位。
捕手という「負担を背負うポジション」でこれは異常でしかない。
──もしもこのペースを維持すれば、162試合換算で57本塁打。
「捕手初の50本塁打超え」という歴史の扉を叩こうとしている。ちなみに、MLB史で40本超えを果たした捕手は6人、8回のみ。ローリーが今その扉のノブに手をかけている。
キャッチングも冴えわたり、フレーミング技術は定評があり、ブロッキング技術も飛躍的に向上。肩の強さも申し分なく、まさに“最強捕手”としての完成形へと近づいている。
そして、ついに
2026年に開催されるワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で、カル・ローリーがアメリカ代表入りを果たすことが正式に決定した。
“世界最強の捕手”が、“世界最強の称号”をかけて挑む大舞台。
WBC2026という世界の檜舞台に、カル・ローリーの名が刻まれる。
球史に、そして世界に。