侍ジャパン・トップチーム監督の稲葉篤紀が12球団のキャンプを視察行脚した。約1週間をかけて全球団のキャンプ地を訪問した稲葉監督が、何を見てきたのか、まとめてみた。
2月3日
東北楽天イーグルス
最も注目の田中将大はまだ不在だったが、浅村栄斗、松井裕樹、岸孝之、則本昂大らをチェック。ドラフト1位の左腕・早川隆久にも期待。また、かつてのチームメイトでもたる石井一久監督と言葉を交わしていた。
北海道日本ハム ファイターズ
西川遥輝を「彼の出塁率やスピードは、ジャパンでも必要になってくる」と評価。
清宮幸太郎、野村佑希、ドラ1の伊藤大海らも候補入っていると明言。
2月4日
中日ドラゴンズ
大野雄大にはやはり先発で期待。また横浜スタジアムとの相性はどうか、というリアルな質問もしていた。さらに柳裕也のフリー打撃登板や京田陽太を視察し、ドラフト6位の三好大倫のバッティングを評価していた。さらにポスト松田宣浩の候補の一人として三塁手高橋周平を「守備もうまいし、アベレージも残せる」と期待。
阪神タイガース
2017WBC以来、代表から遠ざかっている藤浪晋太郎と、「腕が遅れて出てくる。なかなか初見で打つのは難しい」と評価の左腕岩崎優のブルペンを視察。藤浪の復活に期待するとともに表情の変化を指摘していた。
さらにはポスト松田の候補の一人である大山悠輔に近本光司、梅野隆太郎、岩貞祐太、西勇輝らも候補に入っていると名言。ドラ1の佐藤輝明内野手の遠くへ飛ばす能力にも期待を寄せた。
2月5日
東京ヤクルト スワローズ
2年連続代表候補で「ポテンシャル高い」と評価の塩見泰隆外野手を視察。
また、「ファーストミットは残しておいてという話はしている。本人も、どこでも出ると言ってくれているみたいなので頼もしく思います」と山田哲人に、さらには「自覚」と「風格」が出てきたと村上宗隆にも期待を寄せた。
2月6日
千葉ロッテ マリーンズ
和田康士朗外野手を「足の速い選手は魅力ある。プレミア12でも、ここぞの代走は大事と感じた。活躍次第では、名前も挙がってくる」と評価した。
さらにU-23代表に選出した安田尚憲のバッティングに注目し、成長を期待していた。
2月7日
広島カープ
稲葉監督構想の侍ジャパン4番の最有力候補である鈴木誠也に、その考えを直接伝えていた。また、昨シーズン新人王の森下暢仁を「期待したい投手の一人」として注目していた。
横浜DeNAベイスターズ
昨シーズンの守護神山崎康晃の不調により、抑えにまわった三嶋一輝を「抑えの候補としては見ていきたいなと思います」と注目。もちろん侍ジャパンの絶対的守護神ともいえる山崎の復活も期待していた。
2月8日
埼玉西武ライオンズ
源田壮亮、外崎修汰、森友哉と代表経験のある選手が多いライオンズの中で稲葉監督が最も注目していたのが、新たな戦力として中継ぎ候補となる平良海馬だった。
「ジャパンでも中継ぎは大事なポジション。非常に球も強いし、打者との駆け引きも上手。緊張したプレッシャーのかかる場面でも堂々と投げる姿もあるし、いろんな意味で期待したい選手の一人です」と語っていた。
2月9日
オリックス バッファローズ
オリックスが誇るWエースの代表候補の山岡泰輔、山本由伸のブルペンを視察した。
山本に関しては「いろんな使い方ができる。五輪は勝った負けたで日程が変わる。ある程度、早めにはいろんなことを伝えてやっていきたい」と模索中であることを語った。
またドラフト4位のアンダースロー投手中川颯に将来の代表入りを期待し「井端コーチと『いいピッチャーや。打ちにくい』と話していた。今年の活躍次第では、というものを感じさせる投手」と語っていた。
読売ジャイアンツ
ポスト松田の座を巡り、激戦区となった侍ジャパンの正三塁手。その筆頭候補である岡本和真を原監督から強く推挙される。打撃だけでなく守備の意識も高くなり技術も上がっているとのこと。
2月10日
福岡ソフトバンク ホークス
リハビリ組で調整中の柳田悠岐、千賀滉大らを激励。さらに周東佑京、高橋礼、甲斐拓也らプレミア12の代表選手らを視察した。甲斐に対しては「短期決戦をたくさん経験して、すごく成長しているなと感じています」と語っていた。
当然のことにプレミア12の代表選手を中心に視察していたが、大会からは1年以上も経過しているわけで、新戦力の発掘も重要となっている。昨シーズンでいえば、侍ジャパンの絶対的守護神山崎康晃がまさかの絶不調に陥った。先発投手であれば駒は豊富たが、抑えの駒は限られている。短期決戦での適性も含めて、候補は常備しておかなければならない。一週間で12球団を視察する弾丸ツアーだが、決して挨拶まわりだけではない。けっこう重要である。