くたばれコロナ!とりあえず小さくたって大声で叫ばなければ気がすまぬ昨今。
ありそうでなかった野球日本代表のユニフォームに特化した本である。
「ベースボールマガジン」などで日本代表の特集号が出ることはある。最近では今年の2月号で「日本代表の記憶」という特集が組まれたばかりだが、日本代表で、ユニフォームのみの本というのは画期的だ。
「Catalog of Japan National Baseball Team Jerseys」である。
「図録」である。
野球殿堂博物館開館60周年企画である。
オリンピック開幕前に日本代表で盛り上がろうよ、というつもりだったのだろうが、残念ながら東京五輪は一年延期になってしまった。2021WBCの開催も不透明だ。てことで、なんだか中途半端な時期での出版となってしまったが、五郎には関係ない。むしろ歓迎である。東京五輪が延期になってしまったのだから本くらいは出版してほしいものである。
この閉塞感あふれる現状では、五郎にとっては素敵な贈り物である。
さて、この本の内容だが1931年の日米野球から日本代表・日本代表的なチームのユニフォームを紹介している。
五輪参加以降のユニフォームはさほど珍しいものではないが、やはり1931〜1951年あたりの日米野球でのユニフォームは貴重である。
もちろん、ロス五輪から昨年のプレミア12までのユニフォームを一挙に掲載されると圧巻である。あらためて、いいなと思った。
細かいことで気付かされることもあった。たとえばトップチーム稲葉監督の初陣となった2017アジアプロ野球チャンピオンシップでのユニフォームだが、新監督に合わせて侍ジャパンのユニフォームも新調されたわけだが、大会ロゴマークが右袖に縫いつけられていた。
野球の国際大会では大会ロゴマークはユニフォームの背襟に縫いつけられることが多いので珍しいことである。小さい大会なので気にしてなかったわ。
また、各ユニフォームの重さが表記されているのも興味深い。
ユニホームの変遷として、JAPANロゴや背番号などが刺繍からプリントに変更されていくのだが、劇的にユニフォームが軽量化されたわけではないのだな、と思った。まあ素人にはわからないだけかもしれないが。ロス五輪以降のユニフォームで圧倒的に重いのは2006WBCのユニである。
ただ、ユニフォームの図録というわりにはユニフォームの解説はあまりない。大会ごとにユニフォームの画像を掲載しているが、テキストはユニフォームの解説よりも大会の概要がメインである。そこは寂しい。
各ユニフォームをイラストとともに解説しているのは「週刊ベースボール」の連載でお馴染みの綱島理友なのだが、残念ながらロス五輪からアトランタ五輪のユニは省略され、全体的に凝縮感があり物足りない。
さらに欲を言うともっと帽子・キャップにもスポットをあててほしかったな。あと、2006WBCのキャップがホーム用とビジター用のキャップが逆に紹介されていた。これは凡ミスだろう。
ラストの主な国際大会の出場者名簿はなかなか貴重である。1954年の第1回アジア野球選手権大会から、「主な」どころではない数の大会を網羅しているのだ。こんな国際大会があったのかと、それだけでなかなか愉しい。
日本が初めて挑んだ国際大会は、1913年の極東選手権競技大会という日本、中華民国、フィリピンのスポーツ振興を図る大会であった。