侍ジャパンと、ユニフォームと

野球日本代表、すなわち侍ジャパンのユニフォームなどに関する二、三の事柄

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【侍ジャパンの歴史・記憶 09WBC後篇】日韓三年戦争最終局面!

2009年WBC Vol.2

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サンディエゴラウンド:ペトコ・パーク

東京ラウンドを2位で突破した侍ジャパンはアメリカ・サンディエゴラウンドに進出した。メキシコシティラウンドからはメキシコとキューバが駒を進めて同じプールに入り、日本、韓国、メキシコ、キューバの4ヶ国が戦うことになった。

第1戦 キューバvs日本
   1 2 3 4 5 6 7 8 9 R
JPN 0 0 3 1 1 0 0 0 1 6
CUB 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

(日)松坂、岩隈、馬原、藤川─城島
【本】

日本の初戦はキューバである。先発は松坂大輔。アテネ五輪、2006WBCでキューバに快勝している。とくにアテネ五輪での勝利は、野球日本代表史上初の五輪でのキューバ戦勝利である。一方のキューバの先発はチャップマン。大会前から都市伝説のような逸話とともに紹介されていた投手が、遂にヴェールを脱ぐ、とのことで大変盛り上がった。以前の日本代表に見られたキューバに対する過剰な力みや苦手意識はもうない。風格すら漂う松坂のピッチングである。6回を5安打8奪三振無失点に抑えた。打線は3回表に3点を先制しチャップマンを引きずり降ろし、その後も小刻みに追加点をあげた。侍ジャパンらしい、つなぎの攻撃が見事に機能して6対0で勝利となった。

第2戦 韓国vs日本
   1 2 3 4 5 6 7 8 9 R
JPN 0 0 0 0 1 0 0 0 0 1
KOR 3 0 0 0 0 0 0 1 X 4

(日)ダルビッシュ、山口、渡辺俊、涌井、岩田、田中─城島
【本】

第2戦は今大会3度目となる韓国戦である。先発はダルビッシュ有。松坂よりいいピッチャー、という触れ込みでアメリカでの注目度も高かったダルビッシュたが、初回に少し制球が乱れたところを韓国に狙われ3点を先制された。2回以降は5回まで無失点6奪三振と安定を取り戻しただけに初回が悔やまれた。打線はキューバ戦のようには打線がつながらず韓国に抑え込まれ、4対1で敗戦となった。

第3戦 キューバvs日本
   1 2 3 4 5 6 7 8 9 R
JPN 0 0 0 2 1 0 1 0 1 5
CUB 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

(日)岩隈、杉内─城島
【本】

第3戦は敗者復活戦となるキューバ戦。ここで負けると終了の大一番となった。濃い霧が立ち込めるなかで試合は始まった。日本の先発は岩隈久志である。この日の岩隈のピッチングは芸術品のような美しさだった。低めを丁寧についてゴロを量産していった。つづき杉内も3回を被安打0、無失点に抑える完璧なピッチングであった。打線は4回表に青木から、この日4番の稲葉がつないで小笠原の先制打が生まれた。その後も打線がつながり3点を追加し5対0で準決勝進出を決めた。

第4戦 韓国vs日本
   1 2 3 4 5 6 7 8 9 R
JPN 0 2 0 0 0 0 0 3 1 6
KOR 1 0 0 0 0 0 1 0 0 2

(日)内海、小松、田中、山口、涌井、馬原、藤川─阿部
【本】内川1号

第4戦はサンディエゴラウンド1位通過をかけ、4度目の韓国戦である。ある意味消化試合でもあるので、投手陣は主力を温存する起用となった。先発は内海哲也で、そこから小松、田中、山口、涌井、馬原、藤川と小刻みに継投し2失点に抑えた。打線は先制された直後の2回表に内川の特大ホームランで同点に追いつくと、片岡のヒットで逆転した。7回に追いつかれたが、すぐにまた青木、稲葉、小笠原がつないで勝ち越し。6対2で勝利となった。だがこの試合で村田修一が右足を痛めて戦線離脱となり、日本から栗原健太が緊急招集されることとなった。


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「週刊ベースボール」09WBC特集号

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「Number」09WBC特集号

決勝ラウンド:ドジャースタジアム

準決勝 日本vsアメリカ
   1 2 3 4 5 6 7 8 9 R
USA 1 0 1 0 0 0 0 2 0 4
JPN 0 1 0 5 0 0 0 3 X 9

(日)松坂、杉内、田中、馬原、ダルビッシュ─城島
【本】

準決勝はアメリカ戦。日本代表は打倒キューバを目標にオリンピックを戦ってきたが、日本球界全体で考えてみれば、常に追いつづけていたのはアメリカである。親善試合に近い日米野球でもなく、メジャーリーガー不在のオリンピックでもない、WBCでアメリカ代表に勝つことこそが日本球界誕生からの悲願のひとつとなったことに間違いはない。前大会では不運もあり、アメリカに勝利することはできなかった。今大会では舞台は準決勝となり、ドジャースタジアムである。
日本代表の先発は松坂大輔。アメリカ代表の先発はロイ・オズワルト。松坂同様にシドニー五輪のアメリカ代表でもあり、アストロズのエースピッチャーであった。前大会のお返しとばかりに、1回表にアメリカ代表は先頭打者ロバーツが松坂の2球目を強振してホームランである。だがそこで乱れる松坂ではなかった。そこから5回途中までを2失点にまとめた。打線は1点を追う2回裏に稲葉、小笠原のヒットエンドランから城島の犠牲フライで同点。勝ち越された直後の4回裏に打線がつながり5点を奪って逆転。8回に2点差に詰められるがすぐに3点を追加し突き放した。最後は不調の藤川に代わり抑えにまわったダルビッシュが締めて9対4で勝利し、決勝進出を決めた。

決勝 韓国vs日本
   1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 R
JPN 0 0 1 0 0 0 1 1 0 2 5
KOR 0 0 0 0 1 0 0 1 1 0 3

(日)岩隈、杉内、ダルビッシュ─城島
【本】

決勝は今大会5度目の対戦となる韓国である。ここまで2勝2敗ときて、雌雄を決するにはこれ以上ない舞台である。そしてこの決勝戦は、日本球界で永遠に語り継がれるであろう世紀の一戦となった。日本の先発は岩隈久志である。
試合は緊迫した投手戦となり、侍ジャパンは3回表に小笠原のタイムリーで1点を先制するが、5回裏にメジャーリーガー秋信守のホームランで同点に追いつかれる。岩隈は8回途中まで2失点で抑え、杉内につないだ。打線は7回表に中島のタイムリー、8回に岩村の犠牲フライで計3点をとり1点差で9回をダルビッシュに託した。だがダルビッシュはスライダーの制球が定まらず、韓国に同点に追いつかれ延長戦に突入した。
サヨナラ負けは免れたが、流れは完全に韓国に傾いていた。その流れをイチローが引き戻した。大会を通じて不調だったイチローが、2死2、3塁でセンター前に2点タイムリーを放ち勝ち越しに成功する。10回裏は続投のダルビッシュが今度はきっちりと締めて日本はWBC連覇を達成。
2006WBCでのイチローの「30年発言」によって開戦した韓国との3年戦争は北京五輪を経て、2009WBC決勝という最高の舞台で、日本にとっては最高の形で幕を閉じた。もちろんこれで野球の日韓戦が終わったわけではなく、また新たなフェーズに突入していく。


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2009WBC決勝戦チケット(レプリカ)


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2009WBC優勝記念トロフィー

2009WBCの課題

観客動員数は前回を上回る結果を出したが、対戦カードによってばらつきがあるという課題は残った。各地での第1ラウンドはやはりホスト国以外の試合の集客は低かった。これはWBCだけではなく、野球の国際大会全体の課題でもある。
今回採用されたダブルイリミネーション方式によって同一カードが増えてしまう事態となった。だがこれは集客を見込める日韓戦を増やすためで、運営の思惑通りに、日本と韓国はともに今大会で9試合を戦ったのだが、そのうち日韓戦は5試合となった。結果としては集客面では成功したわけだが、やはり次の大会では第1ラウンドでのダブルイリミネーション方式は採用されていない。
前大会から継続している課題もある。シーズン開幕前という開催時期の問題。各国への利益配分。審判の配置。などなど。もちろん課題はひとつずつクリアしていくべきだが、ネガティブサイドぱかり見ていても仕方ない。個人的にはこの4年に一度の大会が楽しみで仕方ない。それだけ魅力のあるイベントなのだ。

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「週刊ベースボール別冊」2009WBC総決算号

baseball.p-goro.com