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第2回WBSCプレミア12開催
その不透明な存在意義
WBCという「世界一決定戦」が既に存在しているにもかかわらず、なぜ我々は「WBSCプレミア12」なる大会の開催を目撃する羽目になったのか。
その理由を問えば、「野球の国際組織が主催する世界一決定戦が存在しないのは具合が悪い」という、それはあまりにも薄っぺらなレーゾンデートルが返ってくるだけだ。
東京五輪予選
しかし、結局のところ、何がどうであれ第2回 が開かれた。
そしてそれを、東京五輪予選を兼ねたものとして、結果的に一定の意義が付加されたことを、とりあえずは喜ぶべきだろうか。
今大会は、日本を除くアジア・オセアニアの最上位国、さらに北中南米の最上位国という2枚のチケットが東京五輪出場への道筋として用意されている。
この点において、前回大会以上にシビアで、ある意味では純然たるスポーツ的競争の枠組みが色濃く出たといえるだろう。
新しい大会形式
形式面でも、大会は前回とは様相を異にする。オープニングラウンドは6チームずつ2グループで行い、その上位4チームが準々決勝に進むという従来の構造を捨て、今回は4チームずつ3グループに分かれる形に変更された。
各グループの上位2チームがスーパーラウンドに進出し、最後に上位2チームが決勝戦で相まみえる── 大会フォーマットは複雑さを増したが、それもまたスポーツ的な緊張感を高めるための装置と考えるべきかもしれない。
4ヶ国による開催
試合会場にも国際性が反映されている。オープニングラウンドはメキシコ、台湾、韓国で分散開催され、その後のスーパーラウンドと決勝戦は日本で繰り広げられる。
この地理的な広がりは、ただ野球を観戦するという行為が文化の境界線を越えるものであることを示している。
プレミアムな大会へ
それにしても、この大会の存在意義を問うと、途端に思考が宙吊りになる感覚を禁じ得ない。それは野球という競技そのものの普遍性への問いかけでもあるのだろうか。
東京五輪の予選を兼ねるという要素は、確かに大会にある一定のリアリティを与えている。しかし、それでもなお、「世界一決定戦」としてのWBSCプレミア12が、スポーツそのものの美学とどう向き合っているのか、その答えは容易には出てこない。
とはいえ、何がどうであれ、この大会が一定の盛り上がりを見せ、多くのファンを引き寄せた事実は残る。
そして、そんな事実が、この大会を正当化するには十分な理由となり得るのかもしれない。
「プレミア12」という名を持ちながら、それが果たして「プレミア(最高)」であるのかどうか。問われるべきはそこなのだろう。
日本代表メンバー
監督
80 稲葉篤記
コーチ
88 金子 誠
81 建山義紀
84 村田善則
82 井端弘和
87 清水雅治
投手
11 岸孝之(東北楽天GE)
13 山岡泰輔(オリックスB)
17 大竹寬(読売G)
18 山口俊(読売G)
19 山崎康晃(横浜DeNA)
20 甲斐野 央(福岡ソフトバンクH)
21 今永昇太(横浜DeNA)
22 大野雄大(中日D)
28 高橋 礼(福岡ソフトバンクH)
43 山本由伸(オリックスB)
47 中川皓太(読売G)
57 嘉弥真新也(福岡ソフトバンクH)
90 田口麗斗(読売G)
捕手
10 小林誠司(読売G)
27 會澤 翼(広島東洋C)
62 甲斐拓也(福岡ソフトバンクH)
内野手
1 山田哲人(東京ヤクルトS)
2 源田壮亮(埼玉西武L)
3 浅村栄斗(東北楽天GE)
4 菊池涼介(広島東洋C)
5 外崎修汰(埼玉西武L)
6 坂本勇人(読売G)
7 松田宣浩(福岡ソフトバンクH)
外野手
8 近藤健介(北海道日本ハムF)
9 丸 佳浩(読売G)
23 周東佑京(福岡ソフトバンクH)
34 吉田正尚(オリックスB)
51 鈴木誠也(広島東洋C)
基本オーダー
1 (一) 山田哲人
2 (遊) 坂本勇人
3 (中) 丸 佳浩
4 (右) 鈴木誠也
5 (指) 浅村栄斗
6 (三) 外崎修汰
7 (左) 近藤健介
8 (捕) 會澤 翼
9 (二) 菊池涼介
オープニングラウンド
グループB:台湾
第1戦:桃園国際球場
日本 vs. ベネズエラ
🇻🇪 0 0 0 1 0 3 0 0 0 4
🇯🇵 0 0 0 0 2 0 0 6 X 8
(日)山口、山岡、大竹、中川、甲斐野、山崎 ― 小林、會澤
ヒット一本が遠かった。
日本の先発山口は悪くはなかったが、4回にゲッツー崩れで先制点を許した。
日本の初安打が4回裏にようやく出て、5回に小林が四球、坂本がエラーで出塁すると菊池の同点タイムリーツーベース。さらに鈴木の勝ち越しタイムリーで見事に逆転である。
だが6回に不運な三塁ゴロでまた流れがベネズエラに傾いてしまう。山岡、大竹、中川と刻んでいくが元ヤクルトのリベロに同点タイムリーを打たれ、さらに2点を失い逆転されてしまう。
ここでルーキー甲斐野の好投が再び日本に流れを引き寄せる。
ベネズエラのエスコバーが制球を乱し、ノーヒットで押し出しによる1点。つづく菊池のタイムリーで1点。さらにまた押し出しで1点。4番鈴木は犠牲フライ。源田の内野安打でまた1点。最後は丸の押し出し。ヒット2本で6点である。
ベネズエラの自滅に救われた感もあるわけだが、とにかく大事な初戦を取った。
グループB:台湾
第2戦:桃園国際球場
日本 vs. プエルトリコ
🇵🇷 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
🇯🇵 0 0 4 0 0 0 0 0 X 4
(日)高橋礼、嘉弥真、大竹、山本、山崎 ― 甲斐
【本】鈴木1号
侍ジャパンの先発は、日本代表伝統のアンダースロー枠・高橋礼。
最高のピッチングだった。
国際大会で完全試合を達成してしまうのか、などと気の早いことに4回あたりで思ったりしたのだが、とにかくテンポのいいピッチングで6回を1安打無失点である。
18アウトのうち内野ゴロが14個。ほとんどボールが外野に飛ぶこともなかった。
打線は3回裏に近藤の内野安打で1点を先制すると、4番鈴木に待望のホームランで3点を追加。得点はこの回のみだが、やはり投手を中心に守り勝つのが侍ジャパンだろう。
初登板の山本の好投も光った。前日につづき9回は山崎が締めた。
グループB:台湾
第3戦:台中インターコンチネンタル球場
台湾 vs. 日本
🇯🇵 2 0 2 0 0 1 0 0 3 8
🇹🇼 0 0 0 0 0 0 0 0 1 1
(日)今永、大野、山岡、甲斐野、岸、山本 ― 會澤
【本】鈴木2号
侍ジャパンの先発は今永昇太。
侍ジャパンは初回に4番鈴木、吉田のタイムリーで2点を先制。3回には2試合連続となる鈴木の2ランホームラン。6回には丸のタイムリーで5点目を入れた。9回にまたも鈴木のタイムリーでダメ押し。さらに泥にまみれて培った!源田!源田!源田!のスリーベースでまたダメ押し。
投手陣は先発今永がランナーを背負いながらも3回を無失点で抑えた。その後は大野、山岡、甲斐野、岸と刻んで、この日のクローザーは将来の侍ジャパンエース候補山本由伸。2死からタイムリーを打たれ失点したが、きっちりとオープニングラウンドを締めくくった。
オープニングラウンドを3連勝で、侍ジャパンはスーパーラウンド進出を決めた。