2012年に常設化された野球日本代表チーム。
常設化されたといってもなにをするわけでもない。することがないからだ。国際大会の長い長い予選があるわけでもない。
常設化というのは、ようは大会直前になって代表チームの監督を押しつけあうのはやめようよ、ということで、監督だけは常に決めておこうよ、ということである。
なので基本的な流れはWBC終了後に新しい監督を選び、次のWBCまで代表チームを率いてもらう、ということになる。
野球にとってはWBCが最も重要な国際大会だからだ。その間の国際大会もそのままタクトを振れるのでスムーズに事は進む。
ただ、現在は東京五輪があったり、WBCが延期となったりしてぐちゃっとした状況である。
侍ジャパンの壮行・強化試合
トップチームは現在、春と秋に侍ジャパンシリーズと銘打って強化試合をするのが恒例となっている。以前は大会前に壮行・強化試合をしていたが、コンスタントに他国の代表チームと試合をすることで経験値を上げたいのだろう。
とはいえ対戦するのはいつも似たような相手なので、これで経験値が上がるのか?金儲け以外に意味があるのか?と思ってしまうが、なんだかんだで見てしまう。やはり国と国の試合は普段とは違う面白さがあるのだろう。
で、今日は何がしたいかというと、過去に行われた壮行・強化試合の告知ポスターの紹介である。
昔の日本シリーズのポスターなどを見るのは楽しいと思うのだが、これを侍ジャパンの強化試合で見てみようと。
ものすごく古いものがあるわけではないので、そこは寂しいが、時系列に並べてみるとけっこう面白いのであった。
2007年11月 日本代表強化試合
VS.オーストラリア (福岡Yahoo!JAPANドーム)
北京五輪アジア予選前の強化試合である。
世界一の野球を、しようじゃないか。
同年8月に行われた北京プレ五輪の画像を使用していると思われる。非常に地味なデザインだ。コピーに古くささを感じてしまう。「しようじゃないか」と言われても困る。
2006年2月 日本代表エキシビションゲーム
VS.12球団選抜、千葉ロッテ (福岡Yahoo!JAPANドーム)
遂に開催されるメジャーリーガー参戦の野球の国際大会、ワールド・ベースボール・クラシック。その強化試合。
福岡からはじまる、史上空前のベースボール
まあ実際はWBCは東京ドームなわけだが、それはいいじゃないか。それにしても王監督がいると、不思議な落ち着きを感じるのはなぜか。
2008年8月 日本代表強化試合
VS.プロ野球選抜 (東京ドーム)
8月23日歓喜ふたたび!
北京五輪前の強化試合である。セ・パそれぞれの選抜チームとの試合である。僕はパリーグ選抜チームとの試合を見に行った。その試合で今のところ唯一となるファールボールをゲットした。
画像は北京五輪アジア予選での星野監督胴上げシーンを使用している。前回よりさらに地味になった。手抜き感すら感じてしまうが、この時代はこれが野球日本代表の立ち位置なのだろう。でも、やはり星野監督は絵になるな、とは思う。
2012年3月 侍ジャパン東日本
大震災復興支援マッチ
VS.台湾 (東京ドーム)
東日本大震災復興支援マッチである。
監督はホークスの秋山幸二。個人的にはライオンズの中村がようやく代表チームに呼ばれたのが嬉しかったな。日本代表チームを常設化し、侍ジャパンという呼称を正式に採用したのもこのあたりからである。また、この試合の前に社会人選抜と大学選抜が対戦している。大学選抜チームには山川穂高やホークスの東浜などが選出されている。
日本中の侍よ、ひとつになれ。
ポスターにも独自のデザイン性が生まれ、短命に終わってしまったが侍を模したロゴマークも使われている。だがこのポスターにおける最も重要なポイントは、侍ジャパンVS台湾代表と表記されている点である、ということは言うでもない。ただ、告知ポスターの本来の目的である、いつ・どこで、という情報が伝わりにくい。
2012年11月 侍ジャパンマッチ
VS.キューバ (福岡Yahoo!JAPANドーム)
WBC2013前の選手選考を兼ねた強化試合である。
この試合から山本浩二が指揮している。第1試合は我らが元ライオンズの炭谷が出会い頭にホームランを打ってしまったことで記憶されている。
文字のみのシンプルさが逆にいい。どこかレトロっぽい雰囲気を出しつつ、新しさも感じる。個人的にはデザイン、カラーともに最も好きなポスターだ。
2013年2月 侍ジャパン強化試合
VS.広島カープ(サンマリンスタジアム宮崎)
WBC2013直前の強化試合である。
どうした?と言わんばかりのテキトーなデザインが逆に珍しいではないか。
強化合宿の中に組み込まれた試合なわけだが、それにしても、である。チケット代も破格の安さである。
2013年2月 侍ジャパン壮行/強化試合
VS.オーストラリア、阪神(京セラドーム大阪)
デザインの元はWBC2013公式ガイドブックの表紙である。このときのWBCでは公式プログラムとは別に、ガイドブックなる書籍が販売された。
昨年の台湾戦、キューバ戦のポスターデザインが秀逸だっただけに実にもったいない。
2013年11月 侍ジャパンマッチ
VS.台湾 (新荘野球場、天母球場)
小久保裕紀が監督となり、初めての強化試合である。しかも海外遠征である。小久保監督就任とともに現在も使用しているホームベース型のプライマリーマークが登場し、ユニフォームも縦縞デザインが復活した。トップチームだが当時まだ大学生の大瀬良が選出されている。
ポスターは、台湾寄りのせいか残念な出来である。侍ジャパンは日本武士と表記されている。侍ジャパンからは嶋、ライアン小川、中田が採用されている。中田は台湾でも人気があるのでわかるが、他の二人の基準はわからない。
2014年11月 侍ジャパン壮行試合
VS.ホークス・ファイターズ (福岡ヤフオク!ドーム)
日米野球前の壮行試合である。8年ぶりの日米野球で、前回まではプロ野球選抜チームで戦っていたわけだが、どうせなら、ということで侍ジャパンの強化試合として臨んでいる。
まあ、監督が代表監督でユニフォームが統一されている、という程度の差のような気もするが。
世界一奪還は、福岡から始まる。
ポスターは監督と主要メンバーを前面に押し出したデザイン。対戦相手がプロチームなので侍ジャパンのみを強調している。コピーも含め可もなく不可もなく、といった感じだ。
2015年3月 GLOBAL BASEBALL MATCH
VS.欧州代表 (東京ドーム)
オランダを中心としたヨーロッパ選抜チームとの強化試合である。
野球での強化試合の限界を感じるのはこういうところなのであった。強化試合を組むならできれば格上のチームが理想だが、日本は強い。格上となるとMLB所属選手を揃えたアメリカ、中南米チームとなる。でもそんなチームとの対戦はなかなかないのである。
とはいえ、2試合目は6対2と見事に負けているのであった。
目新しさもあってか「欧州代表」がフューチャーされたデザインだ。冠スポンサーがついた試合だが、まったく告知されてない潔さも実に好印象である。
東京ドームなので観戦に行くつもりだったが恐ろしいことにこの2日間の日程で研修に行かされた。ひゃっ。珍しく、キャッチコピーがない。ひょっ。
2015年11月 侍ジャパン壮行試合
VS.プエルトリコ (福岡ヤフオク!ドーム)
第1回プレミア12前の強化試合である。
2パターン、載せてみた。
もちろんプエルトリコ代表にモリーナなどがいるわけではない。メジャーリーガーなしのチーム編成である。とはいえクセのありそうな中南米のチームとの試合は意味があるような気もする。
侍ジャパン福岡集結
前回とは違って、これといって特徴のない、ずいぶんと散文的なデザインになってしまっている。どうだ、と言わんばかりに横並びになっているがダサいとしか言いようがない。それ以前に監督を前に出すデザインは好きではない。
むしろ文字のみのパターンの方が、カラーリングといい、実に素敵である。
2016年3月 侍ジャパン強化試合
VS.台湾 (ナゴヤドーム・京セラドーム大阪)
春の強化試合である。台湾代表に現ファイターズの王柏融が出ている。翌年に迫ったWBCの代表チームの土台づくりを兼ねていた、ように思う。
世界一奪還へ
ただ整列しているだけの集合写真よりも、プレー中の画像をコラージュしたデザインのほうが躍動感がありカッコいい。なぜか野手のみだが。いつ・どこで、という情報も明確で告知ポスターとしては完成度が高いのではないか。
2016年11月 侍ジャパン強化試合
VS.メキシコ・オランダ (東京ドーム)
WBC2017前の強化試合である。
各2試合ずつ、計4試合と多めである。試合は乱打線が目立ち、シーズン終了後ではあるが投手陣に課題が残るような結果であった。記憶に残っているのは大谷の特大ホームランである。
侍の逆襲、はじまる。
選手画像のコラージュにでっかく文字を重ねてきた新しいデザインである。カラーリングもシンプルでバランスがよい。もう少しメキシコとオランダを強調してもよさそうだが、なかなかの出来ではないかと思われる。
2017年3月 侍ジャパン壮行試合
VS台湾(福岡ヤフオク!ドーム)
WBC2017直前の壮行試合である。
2パターン載せてみた。
大谷翔平がいる・いない、の違いである。これは大会前に大谷翔平が出場辞退となってしまったためである。
対戦相手の台湾はWBC代表チームではなく、CPBL選抜チームである。これには諸事情があり、台湾野球界はかつての日本球界と同様にプロ組織CPBLとアマ組織である中華民国野球協会の仲が悪い。WBC出場の際にどちらが主導権を握るかで対立し、結果中華民国野球協会が仕切ることになった。
それにムカついた、CPBLで人気球団のLamigoモンキーズが代表チームへの選手派遣を拒否するという事態にまで発展した。
さらにCPBLが勝手に日本代表と壮行試合を組んでしまい、協会は右往左往して、結局はWBC代表チームではなくモンキーズを中心としたプロ選抜が対戦相手となったのである。
侍、出陣。集結せよ。
対戦相手名が一番小さい文字とはどういうことか。全体的なデザインはイマイチだが、カラーリングは悪くない。この年のWBCは従来の縦縞ユニの襟と袖にゴールドをあしらったトップチーム用ユニを着用しているが、おそらくそのゴールドをポスターにも取り入れたのだろう。
2018年3月 侍ジャパンシリーズ
VS.オーストラリア (ナゴヤドーム・京セラドーム大阪)
この年から春・秋の強化試合を侍ジャパンシリーズと銘打って行なわれるようになった。
新たに就任した稲葉監督が初めて年齢制限のないトップチームを率いた試合で、久しぶりにオーストラリアとの対戦である。2試合連続で完封勝利を飾っている。
第1戦の先発千賀は6連続三振という快投を見せた。
侍のスタメンに、名を刻め
非常にカッコいいポスターである。選手たちをモノクロにし、全体にはユニフォームで使用されているカラーを配色している。レタリングもよく、侍ジャパンシリーズとしては最高の出発である。ただ、もういい加減に言ってしまうが、半端なコピーはやめたほうがいいと思う。
2018年11月 侍ジャパンシリーズ
VS.台湾(福岡ヤフオク!ドーム)
秋の侍ジャパンシリーズである。日米野球の壮行試合でもある。日米野球の壮行試合をやる意味がよくわからないのだが、まあこれといって見どころのない試合であった。
福岡秋の陣。
夕暮れ時にわずかに現れる紫色の空、みたいなカラーリングは意味不明だ。デザインにもこれといって工夫が見られず、よく言えばまとまっている。だが、なぜか目にはつく。
告知ポスターであるならば大事なことなので最低限の目的は達成しているわけだ。
2019年3月 侍ジャパンシリーズ
VS.メキシコ (京セラドーム大阪)
2019年春の侍ジャパンシリーズ。
メキシコ戦である。
新たな才能の発掘を目的としているのか、顔ぶれがいつもとだいぶ違う。吉田正尚や山岡泰輔、メキシコ4番メネセスなどバファローズ勢の活躍が目をひいた。特に第2試合初回の吉田の満塁ホームランは強烈だった。
若手主体の選出だからか、ポスターは監督のみとなってしまった。個人的にはやってはいけないデザインだと思っている。やはり監督ではなく選手を前に出すべきである。
2019年11月 侍ジャパンシリーズ
VS.カナダ(沖縄セルラースタジアム那覇)
2019年秋の侍ジャパンシリーズ。カナダ戦である。
プレミア12前の強化試合である。そのためメンバーはプレミア12に出場するメンバーである。
この強化試合で侍ジャパンの切り込み隊長秋山翔吾が負傷。プレミア12出場は叶わなかった。
デザインは沖縄開催のため、沖縄っぽい雰囲気が強調されている。地域性が出ているデザインは初めてで面白い。
2022年3月 侍ジャパンシリーズ
VS.台湾代表 東京ドーム
東京オリンピックが終了し、栗山英樹新監督での出発となった侍ジャパンの初陣となる予定だった強化試合。だが新型コロナウイルス感染拡大の影響で台湾代表の入国が困難となり中止となった。2019年11月のプレミア12以降はコロナのせいで、強行開催の東京五輪以外はあらゆる国際試合が中止となってしまった。3年ぶりの強化試合に胸を踊らせたが、またしても中止に。
強化試合ポスターに多く使用される、監督オンリーデザインである。
見逃すな。
新しい「無双」のはじまりを。
というわけで見逃すことになってしまったわけである。
2022年11月 侍ジャパンシリーズ
VS.オーストラリア代表(札幌ドーム)
3年ぶりとなる待望の侍ジャパンシリーズ開催である。
栗山監督就任後は春の強化試合が中止となり、まだ一度もメンバー集結は果たせていなかった。なのでやはり今回も監督オンリーデザインである。
だが、カラーリングが真ん中で赤と緑にセパレイトされていて、これは日本の赤とオーストラリアの緑なわけだが、こういう対戦国のイメージカラーを取り込んだデザインは初めてである。
見逃すな。
新しい「無双」のはじまりを。
前回が中止となったので、使いまわしのコピーである。
2024年3月 侍ジャパンシリーズ
VS.欧州代表(京セラドーム大阪)
春の侍ジャパンシリーズである。
9年ぶりとなるヨーロッパ代表との強化試合。これはWBC2023で対戦したチェコ共和国と日本の交流から生まれたものだろう。
日本代表の強化試合というよりは、ヨーロッパでプレイする選手たちの経験値を上げることに貢献しているのではないか。
今以上にヨーロッパに野球が普及し、強化されればますます野球の国際大会が楽しくなる。
このシリーズではトップチームに大学生4人が招集された。
デザインはやはり監督のみ出演。なんだがメガネを外した岸田総理みたいな画になっていて、嫌だな。
アジアの次は、欧州だ
これは前年の11月にアジアプロ野球チャンピオンシップを制したことからのコピーである。
2024年11月 侍ジャパンシリーズ
VS.チェコ共和国(バンテリンドーム)
秋の侍ジャパンシリーズてあり、プレミア12への強化試合。
春は欧州代表だったが、秋はチェコ共和国単独チームである。これはチェコ共和国代表のアジア遠征でもある。
春と同様に井端監督のみのデザイン。
戦いが、侍をひとつにする。
もはやアイデアが尽きた感じがするのだが。