侍ジャパンと、ユニフォームと

野球日本代表、すなわち侍ジャパンのユニフォームなどに関する二、三の事柄。日本代表ネタ、国際大会ネタがないときは野球カードでつなぎます。お許しを。

【侍ジャパンの歴史・記憶 2015プレミア12後篇】東京ドームの悪夢!だが背けるな!この現実を直視せよ!

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決勝ラウンド:台湾、日本

Aグループからはカナダ、キューバ、オランダ、プエルトリコが決勝ラウンドに進出。

Bグループからは日本、アメリカ、韓国、メキシコが進出して、8チームがトーナメントの決勝ラウンドで争う。

 


準々決勝:桃園球場

日本VSプエルトリコ

🇵🇷  0 0 0  0 0 0  0 0 3   3

🇯🇵  1 0 1  2 0 1  2 2 X   9
(プ)ルイス・シントロン、ミゲル・マルティネス、ガブリエル・エルナンデス、ホセ・ブルゴス、アルトゥーロ・マルトラル、ホセ・アヤ ―
オミール・サントス
(日)前田、則本、増井 ― 嶋

 

侍ジャパンの先発は前田健太。この試合で負傷、というか不調の中村剛也に代わって4番に筒香嘉智が入り、1次ラウンド絶好調の中田翔を5番に上げた。
侍ジャパンは初回に先制点を奪うと、小刻みに追加点をあげ、8回までに大量の9点リードと試合を有利に進めた。
先発の前田健太は3回にピンチをつくったが、4回以降は3イニング連続三者凡退。7回を無失点で試合をつくった。最終回に増井がホームランを打たれて3失点したが、大量リードに救われて侍ジャパンは東京ドームでの準決勝に進んだ。

 


準決勝:東京ドーム

日本VS韓国

🇰🇷  0 0 0  0 0 0  0 0 4   4

🇯🇵  0 0 0  3 0 0  0 0 0   3
(韓)イ・デウン、チャ・ウチャン、シム・チャンミン、チョン・ウラム、イム・チャンミン、チョン・デヒョン、イ・ヒョンスン ― ヤン・ウィジ
(日) 大谷、則本、松井、増井 ― 嶋

 

この2015プレミア12準決勝韓国戦が「東京ドームの悪夢」と呼ばれているのかどうかは定かではないのだが、侍ジャパン史上に残る歴史的敗戦であることは間違いない。
先発は1次ラウンド開幕ゲームの韓国戦と同じく、侍ジャパンのエースと言ってもよい大谷翔平である。5者連続三振、6回までノーヒットで7回を1安打・無失点・11奪三振と初戦を上回る完璧なピッチングで韓国打線を封じた。
一方の侍ジャパン打線は、4回に中田翔、中村晃が出塁し、平田良介のタイムリーで先制、さらに韓国のエラーと坂本勇人の犠牲フライで3点を取った。

3点差としたものの、その後の7回と8回の好機に得点できなかったのが最終的には悔やまれた。
9回表、8回から登板している2番手則本が韓国打線につかまり連続ヒットで無死1、2塁。1番チョン・グンウにタイムリーを打たれて1失点。

さらにデッドボールで無死満塁となり松井裕樹に交代するが、押し出しで1失点。ふたたび投手交代で登板した増井が、4番イ・デホに2点タイムリーを打たれて逆転を許してしまう。

東京ドームの悪夢。

これは悪夢なのだろうか。少なくとも悪い夢なんかではなく、目の前で起きた現実である。夢ではなく現実である。

だが、夢としか思えないような、思い出すのも嫌で恐ろしい現実のたとえ。これもまた悪夢である。思い出すのも嫌な敗戦だが、この先何度も何度も思い出さなければならない。フィードバックはくり返されなければならない。

 


3位決定戦:東京ドーム

日本VSメキシコ

🇲🇽  0 0 0  0 0 1  0    1

🇯🇵  1 7 0  3 0 1  2X  11
(メ)ミゲル・ペーニャ、セザール・カルリージョ、エンリケ・ガルシア、アレクサンデル・カルデラ、エドガー・コレア、エサウ・マドリガ ― ウンベルト・ソーサ
(日) 武田、菅野、山﨑 ― 炭谷、中村
【本】山田(1、2号)、中田(3号)、松田(2号)、秋山(1号)

 

失意の3位決定戦。とはならず、計5本塁打、11得点、1失点の7回コールド勝ちで意地の3位となった。さすがに自国開催で無様な姿はさらせなかったのだろう

 

 

 

 

2015プレミア12の課題

北京五輪を最後にオリンピックから野球とソフトボールが正式競技から除外され、野球とソフトボールは国際組織の再編に取り組んだ。新たに創設されたWBSCにおいて野球とソフトボールはオリンピック復帰を目指すわけだが、それぞれの国際大会も見直されることになった。


野球界ではワールドカップとインターコンチネンタルカップが廃止され、WBC、すなわちワールド・ベースボール・クラシックが野球の世界一決定戦となった。だが、WBCはMLB主催の大会なので、WBSCとしては自前のフラッグシップ大会が必要となり、WBCの中間年に世界野球プレミア12が開催されることになった。


WBSC世界野球ランキングの上位12ヶ国の年齢制限のないトップチームが出場する大会だが、メジャーリーガーは参加していない。これにより世界一決定戦とは名乗れないわけであり、WBSCのフラッグシップ大会という以外は存在意義が見いだせない大会である。そこにすべての課題が集約されているように思われる。

メジャーリーガー不在の大会による集客の弱さから、今後もWBC以上に、日本マネーに依存しすぎるイベントになる恐れがある。
また、アジア諸国やキューバ(ナショナルチームの弱体化が顕著だが)を除くと、メジャーリーガー不在の代表チームはトップチームと呼べるものではない。この格差というか温度差をどう解消するのか。
WBSC公認の世界一決定戦となったWBCとは、どう差別化を図るのか。


大会に年齢制限を設ける、というのがよく見る意見である。即効性があるのはこれだろう。現状のアンダーカテゴリーの国際大会ではU-23ワールドカップが最高年齢の大会となる。そうなるとそれより上のU-25、U-26といったカテゴリーとなるだろうか。そうなったらそうなったで、日本代表も果たしてその世代のベストチームを編成してくるかどうかも疑問である。だが、WBCへの新戦力発掘の場、と考えればいいのではないか。


野球という競技のグローバル化といった視点を含めて、プレミア12をもっと長い目で見るのなら、日本は野球強豪国として果たすべき役割があるように思う。アメリカは本音はともかく、WBCという国際大会を実施している。それならば日本は、MLBとは別にWBSCと連携してプレミア12を成長させていくべきではないか。
あらゆる国の野球選手が目指す最高の舞台がWBCとなれば、プレミア12は成長・経験の場となるべきなのではないか。

WBCとは別の世界一決定戦ではなく、世界交流戦、という立ち位置くらいに考えるべきだろう。メジャーリーガーを除いた国内のトップチームで戦う日本や韓国は優勝を目指しつつも、野球の世界的発展を見据える義務があるように思える。そこから、この国際大会で何をすべきか、見えてくると思うのだが。