侍ジャパンと、ユニフォームと

野球日本代表、すなわち侍ジャパンのユニフォームなどに関する二、三の事柄。日本代表ネタ、国際大会ネタがないときは野球カードでつなぎます。お許しを。

【侍ジャパンの歴史・記憶 2017WBC前篇】3年半にわたる世界一奪還への道、道、道

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小久保ジャパンの集大成

侍ジャパン常設化後、初めてのワールド・ベースボール・クラシックである。台湾遠征、国内での強化試合、日米野球にプレミア12などを経て完成形を迎えた小久保ジャパンの集大成である。
2015年11月19日「東京ドームの悪夢」を振り払い、WBCで2大会ぶりの優勝を目指したのだが、前回同様に何もかもが順調、というわけではなかった。

まずはメジャー組となる上原浩治、前田健太、田中将大、田沢純一、ダルビッシュ有らが不参加を表明した。辞退の理由は様々で、所属球団から許可が降りなかった、ケガ、などなど。第3回、第4回ともに、どういうわけかメジャー組の熱量は低かった。
前大会同様に国内組のみでの戦いとなるのか、と思われたが、救世主が現れた。
アストロズの青木宣親である。
実際の時系列では青木招集の後に田中将大やマエケンの辞退なのだが、とにかくどうにかメジャーリーガーの参戦が決まり、なんとなく体裁は整った、と思われたが、2月4日に激震が走る。
大谷翔平辞退。
この発表の数日前に、右足首の故障のため、投手としたての参加はできないことが発表され、野手としてのみの参加に含みをもたせていたのだが、期待も虚しく辞退となった。
さらに、追い討ちをかけるかのように、小久保ジャパンの精神的支柱であった嶋基宏がケガのために、初戦3日前の3月4日に離脱となった。

このような状態で、壮行試合でも結果が出ず、1次ラウンド突破も危ういのではないかと、今までにないほどの期待値の低さで大会を迎えることになった小久保ジャパンであった。

 

WBC2017 ポスター

 

日本代表メンバー

監督

90   小久保裕紀

 

コーチ

72   権藤 博
73   奈良原 浩
79   大西崇之
80   稲葉篤紀
84   村田善則
87   仁志敏久

 

投手

10   松井裕樹(東北楽天GE)
11    菅野智之(読売G)
12    秋吉 亮(東京ヤクルトS)
14    則本昂大(東北楽天GE)
15    宮西尚生(北海道日本ハムF)
17    藤浪晋太郎(阪神T)
19    増井浩俊(北海道日本ハムF)
20   石川 歩(千葉ロッテM)
30   武田翔太(福岡ソフトバンクH)
34   岡田俊哉(中日D)
35   牧田和久(埼玉西武L)
41   千賀滉大(福岡ソフトバンクH)
66   平野佳寿(オリックスB)

 

捕手

9     炭谷銀仁朗(埼玉西武L) 
22   小林誠司(読売G)
27   大野奨太(北海道日本ハムF)

 

内野手

2     田中広輔(広島C)
3     松田宣浩(福岡ソフトバンクH)
4     菊池涼介(広島C)
6     坂本勇人(読売G)
13   中田翔(北海道日本ハムF)
23   山田哲人(東京ヤクルトS)

 

外野手

1     内川聖一(福岡ソフトバンクH)
7     青木宣親(ヒューストンA)
8     平田良介(中日D)
25   筒香嘉智(横浜DeNA)
51   鈴木誠也(広島C)
55   秋山翔吾(埼玉西武L)

 

 

基本オーダー

1(指)山田哲人
2(二)菊池涼介
3(右)青木宣親
4(左)筒香嘉智
5(一)中田翔
6(遊)坂本勇人
7(三)松田宣浩
8(捕)小林誠司
9(中)秋山翔吾

 

 

 

 

 

1次ラウンド

プールB:東京ドーム

GAME1
日本 vs. キューバ
🇨🇺  0 0 1  0 0 0  0 3 2   6
🇯🇵  1 0 0  1 5 0  2 2 X   11
(キ)エンテンザ、イエラ、J.ガルシア、R.マルティネス、J.マルティネス、サンチェス ― モレホン、アラルコン
(日)石川、則本、岡田、平野、秋吉、牧田 ― 小林
【本】松田1号、筒香1号、デスパイネ1号

 

侍ジャパンは1回裏に青木、筒香の連打で1点を先制。3回に同点に追いつかれるが、山田哲人のタイムリーツーベースで勝ち越し。
つづく5回裏には松田宣浩のスリーランホームランなど打者11人の猛攻で5点を追加。さらに7回には筒香のツーランホームランと終盤に4点追加。
先発の石川歩は4回1失点の好投したが、第2先発の則本が3失点と乱調だった。
日本はWBC4大会連続で初戦を勝利で飾った。

 

 

GAME2
オーストラリア vs. 日本
🇯🇵  0 0 0  0 1 0  1 2 0   4
🇦🇺  0 1 0  0 0 0  0 0 0   1
(日)菅野、岡田、千賀、宮西、牧田 ― 小林
(オ)アサートン、L.ウェルズ、ウィリアムズ、ケネディ、サール、ローランドスミス ― デサンミゲル
【本】デサンミゲル1号、中田1号、筒香2号

 

2回裏、先発菅野は外角高めのスライダーを7番デサンミゲルにスタンドに運ばれるが、失投はこれくらいで5回途中までを1失点に抑えた。
打線は、5回表に松田の犠牲フライで同点とすると、7回に中田のホームランで勝ち越し、さらに8回に2試合連続となる4番筒香のツーランホームランで点差を広げた。

 

 

GAME3
日本 vs. 中国
🇨🇳  0 0 1  0 0 0  0 0 0   1
🇯🇵  1 2 2  0 0 0  2 0 X  7
(中)甘泉、孟偉強、宮海成、陳 ― 王偉、季寧
(日)武田、藤浪、増井、松井、平野、秋吉 ― 小林、大野
【本】小林1号、中田2号

 

侍ジャパンは初回に山田哲人の犠牲フライで先制、つづく2回に小林のツーランホームラン、3回には中田のツーランホームランで点差を広げた。
先発の武田は生命線のカーブの制球が定まらず、ストレートを狙われ連打を浴びた。
一方で後続の藤浪、増井、松井、秋吉の好投で投手陣はある程度の形が見えた。

 

 

 

戦前の下馬評を覆し、全勝で1次ラウンドを突破した侍ジャパン。やはりそのポイントは初戦のキューバ戦での先制点だろう。

Prove yourself right !

自分が正しいと証明しろ!青木宣親は試合前のミーティングで、同僚のロビンソン・カノの言葉を、硬さの見えるチームに紹介した。やって来たことを信じて、自信を持ってプレーしようと。

その青木が初回に2死から左翼フェンス直撃の二塁打でチャンスメイクし、4番筒香がタイムリー。これで重たい空気が変わった。初戦から1次ラウンドの大一番となるキューバ戦で先制点が取れたこと、チームを鼓舞したメジャーリーガーの青木からの先制点だったことはチームを勇気づけた。

今大会の侍ジャパンにおける青木宣親の存在は非常に重要で、2009年のイチローのような、チームの精神的支柱の役割を求められた。キャプテンという肩書きがなくても、侍ジャパンにおいては継承されていかなければならない存在である。